(画像はイメージです/PIXTA)

亡き父の遺産は自宅不動産と金融資産で、相続税評価額ではそれぞれ同額程度。兄は妹に、自分は不動産を、妹は金融資産を相続することを提案しますが、妹は「不公平過ぎる」と激怒し、裁判をする勢いです。相続財産に不動産がある場合、遺産分割はしばしば困難なものになります。なぜでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

土地ありの相続・遺産分割が、しばしば揉めるワケ

相続、遺産分割の事件で、揉めやすいのは土地のある相続です。土地は、現金や預金と違って簡単に分けられないということがあり、売って分けるのか、誰が取得するのかという点で揉めることとなります。

 

また、誰が取得するかが決まったとしても、土地についてはその評価額について、国が3つの評価額を出している上に、その価格が実際に売れる価格とは限らないことから、土地はいくらと評価するかでやはり揉めることとなります。

 

そのため、土地がある相続、遺産分割の事件は、トラブルになりやすいといえるのです。

 

本件では、土地の評価をめぐって争いとなっています。

 

国が出している3つの評価額とは「固定資産税評価額」「路線価」「公示地価」のことです。固定資産税評価額は、厳密にいうと市町村長が決定することとなっているので、国が出している評価額とはならないかもしれません。しかし、一般的には、固定資産税評価額も含めて国が出している3つの評価額と言われていますので、ここでもそのような取り扱いとさせていただきます。

 

 ★固定資産税評価額 

まず、不動産の評価で、みなさんと馴染みが深いのが固定資産税評価額です。これは、不動産の固定資産税を取るための評価額で、時価の7割と言われています。ただし、不動産があまり取引されない地方では、時価より高い場合もありますので、注意が必要です。

 

 ★路線価 

次に、不動産の評価額としては、路線価があります。この路線価は、相続税や贈与税を取るときの基準となる評価額です。一般的には、時価の8割と言われています。不動産があまり取引されない地方では、固定資産税評価額と同じくらいの場合もあります。

※相続税評価額

相続税評価額というのは、相続税を計算する際に、前記の路線価で評価した上で小規模宅地の特例など、相続税法上相続税を軽減するために評価額を減額する特例を使って評価をされていることも多いことから、路線価よりもさらに低い金額であることが多いです。

 

 ★公示地価 

さらに、国では、土地取引の目安となるように、公示地価を発表しています。これは、固定資産税評価額や路線価のように、税金を取るための評価額ではなく土地取引の目安のために発表されている金額なので、時価に近いとされています。

 

以上が、国が出している3つの土地の評価額ということとなります。

 

固定資産税評価額と路線価は、どの土地についても評価がされていますが、公示地価は、すべての土地には付いていません。

 

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