
亡き父の遺産は自宅不動産と金融資産で、相続税評価額ではそれぞれ同額程度。兄は妹に、自分は不動産を、妹は金融資産を相続することを提案しますが、妹は「不公平過ぎる」と激怒し、裁判をする勢いです。相続財産に不動産がある場合、遺産分割はしばしば困難なものになります。なぜでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。
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父逝去…妹が激怒した、兄の遺産分割プラン
太一さんは、預貯金と株式、自宅を残して亡くなりました。預貯金と株式は合計で4000万円くらいです。太一さんには長男の太郎さんと長女の花子さんがいます。妻の陽子さんは亡くなっています。
太郎さんは、自宅の相続税評価額が約4000万円であることから、それを自分が相続し、花子さんが残りの預貯金や株式4000万円を相続すれば平等だと提案しています。
これに対し、花子さんは、相続税評価額は、時価でなく路線価で評価したうえで、小規模宅地の特例などを適用した結果、時価の半額以下になっているものなので、到底応じられません。
花子さんはどうしたらよいでしょうか。
①相続税評価額は国が定めた相続時の土地の評価額なので、相続税評価額に基づいて遺産分割をするのが正しい。
②路線価は国が定めた相続時の土地の評価額なので、路線価に基づいて評価して遺産分割するのが正しい。
③固定資産税評価額は市町村の長が定めた公的な評価なので、これにより遺産分割するのが正しい。
④土地は国が定めた公示地価で評価して遺産分割するのが正しい。
⑤土地は、時価で評価して遺産分割をするのが正しい。