(画像はイメージです/PIXTA)

亡き父の遺産は自宅不動産と金融資産で、相続税評価額ではそれぞれ同額程度。兄は妹に、自分は不動産を、妹は金融資産を相続することを提案しますが、妹は「不公平過ぎる」と激怒し、裁判をする勢いです。相続財産に不動産がある場合、遺産分割はしばしば困難なものになります。なぜでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

実際の金額に一番近いのは「公示地価」なのだが…

では、遺産分割をする際の土地の評価額には、この3つのうちどれを使うのが正しいでしょうか。

 

実は、どれも正しくはありません。遺産分割の際に利用する土地の評価額は、「時価」となり、国の出している3つの評価額はどれも使用しないのです。時価というのは、「いまその土地を売ったら、いくらで取引されるか」という価格のことです。

 

したがって、公示地価の価格が一番近いと言えるのですが、公示地価が定められている土地は、あまりありません。

 

そこで、ほとんどの土地で、公示地価で遺産分割をすることはできません。

 

よって、固定資産税、路線価、相続税評価額、公示地価で、遺産分割をするのが正しいとする選択肢①②③④は誤りとなり、土地は時価で評価して、遺産分割をするのが正しいとする選択肢⑤が正解となります。

 

では、時価はどのように算定すればよいのでしょうか。

 

裁判所で、土地の評価額に争いがあるときは、不動産鑑定士に鑑定をしてもらって評価をすることとなります。

 

裁判所に行く前に、不動産鑑定士に評価してもらうことも可能ですが、不動産鑑定士に依頼すると費用がかかります。しかも、相手が争った場合には、裁判所で、裁判所が選任した中立な不動産鑑定士に再度鑑定を依頼することとなってしまいます。

 

したがって、交渉段階で不動産鑑定士に依頼すると、裁判所でも不動産鑑定をおこなう場合、二重に鑑定費用がかかってしまいます。

 

そこでおすすめなのが、大手不動産業者の簡易査定です。大手の不動産業者では売ったらいくらになるか無料で簡易査定をしてくれます。不動産鑑定ほど正確ではありませんが、取引事例をもとに査定されていることから、時価に近い額として利用することは可能だと思います。

 

こちらの取得した査定額と相手の取得した査定額との間を取って決める、あるいは、このくらいの差額であれば、高い方でもよい、あるいは低い方でもよいということもあると思います。

 

参考にしていただければと思います。


 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

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