日本の借金は過去最大の1220兆円に上りますが、日本は財政破綻しないといいます。自国通貨建てで国債を発行する限り、財政破綻はしない。さらに、日本銀行は「日銀特融」という制度で無担保・無制限の融資を行って預金者たちの預金を全額守ったりしています。元内閣官房参与の藤井聡氏が著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)で解説します。

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日本人は「税制破綻」という病にかかっている

■百年変わらない現実離れした経済学

 

――MMTって、少し前にアメリカで論争を巻き起こして、日本でも国会で取り上げられるなど話題になりましたよね。日本のマスコミは、「財政赤字なんか膨らんでもへっちゃらで、中央銀行に紙幣を刷らせれば財源はいくらでもある、というかなりの『トンデモ理論』である」とか「『異端』の経済理論」とか批判してましたけど。

 

藤井 MMTに基づく重要な主張のなかに、「通貨発行権のある国の政府支出には、絶対的な制限はない」というものがあるんですが、これが彼らには引っかかるようですね。

 

でも、「中央銀行からの政府の借金は、返済も利子も不要だから、実質的に借金じゃない。だから、政府はいくらでもおカネを自らつくり出すことができる」というさっきの話は、「通貨発行権のある政府支出には制限がない」といってるのと同じですよね。しかし多くの人々は、テレビや新聞で「政府は借金で破綻する!」という話を耳にタコができるくらい聞いているので、そんな事実は受け入れられない。

 

しかも、経済学者ですら、普通の人々と同じようにその事実を一向に認めようとしないのです。なぜなら、「現実の世界」は一般的な経済学が想定する世界とは全く異なるからです。

 

だけどそれは、ただ単に経済学者が想定する世界が、現実とは全く異なる「ファンタジー」の世界になってしまっているだけの話。実際、これまでの経済学の常識では説明できないようなことが、ここ20年ぐらいずっと起きまくっているんですよ。そこで、現代の貨幣の理論をきちんと考えようということで出てきたのがMMTです。要するに、おカネはおカネでも、「現代のおカネ」の理論なんです。 

 

――一般的な経済学の常識ではわからないことって何なんですか?

 

藤井 政府が大量に借金すると、世の中からおカネが減って、金利(借りたときの利子)が高くなる、という常識が一般的な経済学にはあるんです。おカネが不足しているのに、おカネを借りようとする人がたくさんいると、金利が高くなるでしょう。でもバブル崩壊後の92年度から国債発行額がずーっと増えているんですけど、金利は反比例して減っている。

 

政府の借金がものすごく増えると、貨幣の信任がなくなって貨幣価値が暴落するという常識もあって、そのためにものすごくヤバいことが起こるといわれていたけれど、今、コロナ対策で各国が何百兆円と借金していながら、そんなヤバいことは全く起こっていないし、起こる気配、わずかな徴候すら全くない。

 

なかでも中国は借金の伸び率が尋常じゃないくらい膨らんでいるのに、ヤバくなるどころか、めちゃくちゃ成長している。これも経済学の常識では全く説明できない。こうしたことを説明する理屈が経済学の教科書には一切書いてないんです。

 

――どうしてなんですか?

 

藤井 経済学というのは、ものすごく古い歴史があって、百年以上前の貨幣のイメージで理論がつくられているんですね。それが全然更新されてこなかった。

 

物理学であれば、今も昔も関係ない。今も昔と同じように、りんごは木から落ちるでしょ。しかし、おカネの仕組みは時代と共に変わっているんですよ。だからそれに合わせて経済理論も変えなきゃいけなかったのに、何にも変えなかったんです! だから、今の経済の実態を、経済学で説明することが全くできなくなっている。たとえば昔、「金本位制」という仕組みがあったことを覚えています?

 

――はい。確か高校で習いました。金を担保にして通貨を発行する制度ですよね。さかのぼると、大昔の人々は物々交換で欲しいものを手に入れていた。でも、必ずしも欲しいものを手に入れられなかった。

 

たとえば、私が織物を差し出して、お肉と交換してもらいたくても、相手にそんな布切れは要らないよと断られたら、私はお肉を食べられない。それで、人々は誰もが欲しがるような価値あるものを持ちたいと思うようになった。それが金だったんですよね。その後、金は世界中で通用することになるんだけれど、持ち運びが大変だった。そこで、イギリスを皮切りに各国の中央銀行が、金庫にある金と同じ価値の貨幣を発行するようになった ――、そんな話ですよね。

 

藤井 そうですそうです。20世紀初頭ぐらいまではそうだった。日本政府が持っている金の量がこれだけだから、それと交換できるだけのお札を発行していたわけ。そうなると、おカネの量は一定ですよね。日本国内にこれだけのおカネの量しかないという場合は、政府が大量に借金すると、世の中のおカネが少なくなって、金利が高くなる。ここは、従来の経済学の常識と合っています。

 

しかし戦争や世界恐慌によって金本位制が崩れ、1930年代にはほとんどの国で廃止された。代わって採用されたのが管理通貨制度で、政府は金の保有量に関係なく、法律で定められた通貨制度に基づいて、お札を「好きなだけ刷っていい」ということになった。そこで、おカネの考え方を変えなくてはいけなかったのに、それをやらなかった。それからずっと、百年ぐらい間違えた世界の話を深めてしまったんですね。

 

――えーっ、誰も間違いに気づかなかったのですか?

 

藤井 ほとんどの経済学者が気づかないなか、イギリスの経済学者で官僚だったケインズだけは例外で、その間違いに気づいた。で、彼は正しいおカネの考え方に基づいて、今では「ケインズ経済学」と呼ばれる理論の体系をつくり上げた。

 

その後、彼の考え方はラーナーやミンスキーといった学者たちに引き継がれ、徐々に発展していって、今、ランダル・レイという学者たちによって「MMT(現代貨幣理論)」という名前で体系化されたんです。だから、MMTはぽっとでの怪しい理論なんかじゃなくて、ものすごく正統な歴史がある、伝統的な理論なんですね。

 

藤井 一般的な経済学者も、政府も世間も、「財政破綻」という病にかかっているのは、間違った「貨幣観」に毒されているからです。

 

藤井 聡
京都大学大学院工学研究科教授 元内閣官房参与
木村 博美
フリーランスライター

 

 

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本連載は藤井聡氏の著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

藤井 聡 木村 博美

ポプラ新書

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