(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅用地は平坦地が望ましいとされ、傾斜地や崖地は敬遠されますが、一方で、長崎や神戸のように「坂道のある街並み」が魅力となり、評価されている地域もあります。高度成長期の大規模都市開発を見て育った高齢者は、坂道のある街に憧れの気持ちを持つ人も多く、その点は若手世代と価値観が大きく乖離しているといえるでしょう。ここでは「坂道のある街」のメリット・デメリットを見ていきます。

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    坂道住宅にもメリットはある

    とはいえ、傾斜地や崖地にもよい点はあります。一つは、土地が斜めになっているため前の建物に眺望を遮られないことです。眺望だけではありません。日当たりや風通しがよく快適に過ごせるというメリットもあります。

     

    また、全国にある傾斜・崖地の面積を都市別に測定してランキングにまとめたデータがあります。そのトップ10圏内には熱海(静岡県)、長崎(長崎県)、尾道(広島県)、函館(北海道)、神戸(兵庫県)といった坂道にゆかりのある観光地が並びます。

     

    このなかでも長崎や神戸は住宅地そのものが坂道観光スポットになっているところです。いずれも古くからの高級邸宅街で、傾斜や崖があるからといって安く叩かれるような場所ではありません。このように坂道に寄り添った街づくりが成熟すれば、土地の価値はおのずと上がります。

     

    傾斜地・崖地は、高齢者や乳幼児のいる世帯にはおすすめできませんが、義務教育から高校生ぐらいの子どもがいる世帯にとっては、子どもたちの健康に寄与するメリットもあります。過去、マンモス団地では多くの子どもたちが坂道を遊び場にしながら、元気に成長しました。体を動かす時間のない多忙な子どもたちも、毎日の通学が体力づくりに一役買うでしょう。

    「子ども人口率20%以上」の都市の特徴を分析してみた

    ここで、現代の子どもたちがどのような環境で育っているのか、総務省「住民基本台帳」のデータをもとに調べてみました。

     

    まず、日本の総人口に占める子ども人口(0~14歳)は12%程度。100人のうち子どもは12人だけ。少子社会であることが調査結果に表れていますね。

     

    次に、47都道府県・市区町村別の子ども人口を見てみたところ、6,800余りの市区町村で全国平均(12%)を超えていました。子ども割合が高いということはすなわち「子育てしやすい街」なのではないでしょうか。そして、そのなかでもとくに高い割合(子ども人口率20%以上:100人中20人以上)の町村が5カ所ありました。

     

    ●東京都御蔵島村(20%)

    ●福岡県糟屋郡新宮町(20%)

    ●鹿児島県鹿児島郡三島村(24%)

    ●鹿児島県鹿児島郡十島村(21%)

    ●沖縄県島尻郡南風原町(21%)

     

    東京・御蔵島村は伊豆諸島中部に位置し、「ドルフィンウォッチング」や「ネイチャートレッキング」といったアウトドア・アクティビティのメッカです。

     

    福岡・新宮町は県庁所在地である福岡市に隣接するベッドタウンで、海(新宮海水浴場)と山(立花山)両方のレジャーが楽しめます。

     

    鹿児島・三島村と十島村は東シナ海の島嶼群から成り立ち、温泉や海水浴、キャンプなどが楽しめるスポットが多彩です。

     

    沖縄・南風原町(はえばるちょう)は沖縄本島の中央に位置し、ビーチリゾートをはじめとする沖縄観光の拠点になっています。

     

    これらの町村に共通するのは、行政の子育て支援が手厚いことに加え、大自然に恵まれた住環境に恵まれているということです。現代の子どもたちは坂道ではなく、海や山に試練の場を求め日々精進していました。

    出費の多い子育て世帯には、検討の余地ありかも

    坂の途中や丘の上の土地は、「日々の昇り降りがきつい」「(新築の際に)造成費用がかかる上、設計も複雑」「土砂災害の心配がある」などの理由から、価格査定で1~4割強減価される傾向にあります。

     

    しかしデメリットばかりではなく、日当たりがよく、眺望が拓けるなどよい点もたくさんあります。坂道のある街は、なにかと出費の多い子育て中の若いファミリーにとってお買い得な不動産といえます。

     

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    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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