写真:PIXTA

ロシアによるウクライナ侵攻。さまざまな国で大きな影響を受けていますが、海外投資家からの注目も高いフィリピンではどうなのでしょうか? 一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が解説します。

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フィリピン経済成長率…6.1%予想から6.4%へ引上げ

世界的な調査会社ムーディーズは、フィリピン経済について、ロシアのウクライナ侵攻による原油、天然ガス他コモディティー価格の上昇圧力があるものの、2021年第四半期に予想よりも強い回復を遂げたため、フィリピンの2022年の成長予測を引き上げました。

 

2022年のフィリピンの経済成長率を6.1%の予想から6.4%に引き上げました。ただし、政府の7~9%の目標は下回っています。

 

理由として、フィリピン政府が国の多くの地域で行動制限を緩和し、ワクチン接種を受けた外国人旅行者の観光ビザでの入国を再開したため、より急速な経済回復が見込まれるためです。彼らの新しい成長予測では、ロシアとウクライナの間の戦争は今四半期の成長にのみ影響を及ぼし、第2四半期までに解決できると想定しています。

 

フィリピン政府は石油供給ショックの影響に対処するための即時かつ長期的な政策を実施できると述べていますが、フィリピンは石油の純輸入国であり、不安定な石油価格の変動に対しては脆弱です。そして、長期的には、政府は石油や化石燃料を必要としない新しいエネルギー効率の高い発電を奨励する政策を強めます。

 

ムーディーズ・アナリティクスは、フィリピン中央銀行BSPが緩和的な金融スタンスを維持することを予想しています。「中央銀行は、持続的な成長を伴う回復が確実に進行するまで、年前半まで政策金利を緩和的に維持するという見方を維持している」と述べています。「しかし、物価上昇がより広範囲に及ぶようになると、中央銀行はインフレ圧力を抑えるために迅速に行動するよう圧力をかけられるでしょう」との見解も示しています。

 

フィリピン政府はコロナ対応のために借入金を増やしてきました。対外債務は2021年に過去最高に達しました。中央銀行・Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP)が発表したデータによると、2021年末現在の対外債務は1064億2800万ドルに達しています。2020年末の98.488億ドルの水準から8.1%増加しました。

 

また、1985年にさかのぼる利用可能なBSPデータに基づくと、これまでで最大です。対外債務は、フィリピンの国内総生産(GDP)の27%に相当します。これは、2020年に記録された27.2%の対外債務対GDP比率よりもわずかに低いものの、2013年の27.6%以来最大でした。

 

フィリピンの対外債務残高の大きい国は、2021年末現在、日本(146億ドル)、米国(38億ドル)、英国(28億ドル)、オランダ(28億ドル)です。ムーディーズのアナリストは、「これは、政府と民間部門の両方が、少なくとも対外債務に固有のリスクをより適切に管理するために、それぞれの借入金の外国為替リスクをヘッジする必要性を浮き彫りにするだろう」と述べています。2021年末現在、ペソは前年比6.2%減でした。

 

フィリピンの経済成長そのものは、2020年の記録的な9.6%の縮小から、2021年には5.6%の成長で回復しました。

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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