株価水準はどうなっているのか?
株価水準は、過去と比較して、非常に魅力的であるといえるほど割安とは言えません。たとえば、予想株価収益率は、過去の中央値をわずかに上回るレベルです。しかし、短期的な課題は残るものの、特定の分野では明確な割安さが現れています。
[図表4]に示すように、米国と比べた新興国の相対的な株価水準は、過去と比較して魅力的にみえます。一方、米国のROE(株主資本利益率)は上昇してきましたが、足元投入コストの上昇圧力にさらされている可能性があります。新興国株式市場の相対的な割安感は、短期的なものではないかもしれません。
今後の見通しに対するリスク
コモディティ価格がどの程度まで高騰するかということと、その高騰の期間がどれくらい続くかということが、世界の成長の鍵を握っています。少なくとも短期的には、不確実性と変動の大きい相場環境が継続する可能性があります。
ウクライナにおけるロシアの行動がさらにエスカレートし、欧米からさらなる制裁を受ける可能性もあります。
また、米中間の緊張関係など、その他の地政学的リスクも存在します。
そのなか、中国のゼロコロナ政策が解除される可能性があり、そのタイミングと影響にも注意が必要であると考えます。オミクロン株は感染力が強く、中国では最近、中国本土で新型コロナウイルスの感染者が増加しています。足元では、中国は深センを封鎖し、上海の一部の学校を閉鎖するなどして対応しています。
また一部の新興国では今年は選挙があり、特に10月のブラジル大統領選挙が注目されます。例年、この時期には市場の変動が激しくなります。
より広範には、新型コロナウイルスの新たな変異株、経済活動の正常化の遅れ、物価上昇圧力の長期化、金融引き締めのペースと道筋のリスクも考慮すべき課題です。
一方、これらの問題の多くが好転すれば、市場は上昇に転じる可能性があります。また、中国当局が景気刺激策を強化し、中国株式市場を支援する動きをみせるかもしれません。
福澤 基哉
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
執行役員/プロダクト統括
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