新しいセミ・リキッドファンド
リミテッド・パートナーシップ(LP)が要求する長期のロックアップや最低投資額の要求が高額なこともあり、これまでプライベート・エクイティ(PE)の主な投資家は機関投資家でした。そのため英国では、ウェルス・マネージャーやリテール顧客は投資信託を通じてエクスポージャーを獲得しています。
今日、新しいセミ・リキッドファンドの構造により、個人投資家は、過去10年間にわたり、ポートフォリオのアウトパフォーマンスと分散効果をもたらしてきた資産クラスへ投資するための幅広い選択肢を手に入れたことになります。
縮小する公開市場ー投資家は投資機会を逃しているのか?
プライベート・エクイティ市場を牽引するもう一つの重要な要因は、企業の非公開志向の高まりであり、実際、公開市場は縮小してきています。
JPモルガンのアナリストによると、今年の上場株式の純減額は1,200億ドルとなり、昨年の400億ドルを上回って3年連続の減少となりました。これは長期的なトレンドの一部です。1996年から2023年の間に、ロンドン証券取引所の主要市場に上場する企業数は60%減少し、米国では40%減少しました。
現在、収益が1億ドルを超える米国企業のうち、株式市場に上場しているのは15%未満であり、ほとんどの預金者は幅広い成長機会を逃していることを意味します。
PEの評価方法を理解する
英国におけるプライベート・アセットへの関心の高まりを受けて、FCA(英国の金融規制当局)はプライベート市場の評価に関するレビューを実施しています。
その焦点の一つは、企業内のバリュエーション実務に対する説明責任と評価委員会のガバナンスです。しかし、評価方法にも焦点が当てられています。
法律事務所リード・スミスがブリーフィング・ノートで述べているように、レビューの主な推進力には、「非上場投資の評価は、非流動性、セカンダリー市場の欠如から、単一の評価手法が存在せず主観的である」という事実が含まれる可能性が高いです。
言い換えれば、公開株式は、需要と供給に基づいて、市場によって毎日価格が付けられます。オープンな市場がなければ、非公開企業はどのように評価できるでしょうか。
PEプロバイダーが使用する評価手法は大きく3つに分類され、多くの場合、組み合わされて使用されます。
マーケット・アプローチ
類似上場企業の市場価格、および類似の非公開企業の買収事例や重要な資金調達イベントを活用します。EBITDA、EBIT、純利益、収益、簿価に対する評価など、様々な評価指標を使用することができます。
インカム・アプローチ
貨幣の時間的価値と特定の投資のリスクの増分を表す期待収益率を用いて現在価値に割り引いた期待キャッシュフローを利用します。投資評価におけるインカム・アプローチは、主に投資が複数のキャッシュ・フローを生み出すことが予想される場合に適用されます。
マイルストーン・アプローチ
過去のマイルストーンの達成度、および将来のマイルストーン達成の確率に基づいて評価を行います。通常、当面の間、収益やキャッシュフローを創出できない企業(シード、スタートアップ、アーリーステージ)に対して用いられます。