本記事は、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社の『マーケット情報』を転載したものです。

新興国市場への影響は?

米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースは緩やかなものに留まるかもしれませんが、少なくとも、世界的な経済成長が鈍化している環境下で利上げを行う可能性が高くなっています。ドル高と相まって、新興国にとってはより厳しい環境となります。

 

前述の通り、ロシアのウクライナ侵攻が世界の経済成長に与えた主な影響は、コモディティを通じてとなります。そして、新興国のうちコモディティの純輸入国にとっては、経済や特定のコモディティへのエクスポージャーによって影響は異なるものの、物価上昇は国際収支と通貨の重しとなります。

 

[図表2]は、エネルギーコストの上昇が新興国の国際収支に与える影響を示しています。

 

[図表2]ブレント原油価格が10ドル変化した場合の貿易収支の変化(%)
[図表2]ブレント原油価格が10ドル変化した場合の貿易収支の変化(%)

 

低所得の新興国においては、消費者物価指数(CPI)に占めるエネルギーと食品の割合は通常より大きくなります。インドは特に脆弱で、食品はCPIバスケットの50%以上を占めています。[図表3]が示すように、多くの新興国ではCPIバスケットの20~40%程度となっています。

 

[図表3]食品がCPIバスケットに占める割合(%)
[図表3]食品がCPIバスケットに占める割合(%)

 

世界貿易の減速も、新興国経済への重しになるとみています。在庫の積み増しが緩和され、新型コロナウイルスの感染拡大後の消費がモノからサービスへとシフトしていることから、今年後半に減速することはすでに予想していました。

 

一部のセクターでは、需要が低迷するなかで投入コスト上昇の転嫁に苦戦し、利益率の重しとなる可能性があります。

 

対照的に、コモディティ輸出国である新興国は、相対的に有利な立場にあります。これらの国々は、中南米と中東に広く分布しています。アジアでは、マレーシアとインドネシアが恩恵を受けることが想定されます。

 

中国では、国内総生産(GDP)に対する新規与信の伸び率が底を打ちました。これは通常9~12ヵ月の遅れで経済活動や新興国の収益に影響を与えます。他の多くの国が政策を引き締める傾向にあるなかで、中国は緩和しています。

 

最近、政府は景気を下支えするために景気刺激策を実施することを表明しました。また、不動産開発業者への支援等も表明しています。

 

中国当局は、国内経済が軟調ななか、国外の見通しの悪化を懸念しているようです。また、中国株式市場の低迷が負の資産効果をもたらし、どの程度消費者心理の足を引っ張るかも懸念されます。

 

新興国における新型コロナウイルスのワクチンの流通に関しては大きく進展しています。ほとんどの新興国は世界平均を大きく上回っており、多くの国が米国やEUよりも多くの人口に対してワクチン接種を完了しています。さらに、感染者が多かった新興国のうち、多くの国では免疫レベルが高くなっています。

 

これらを勘案すると、今年も引き続き活動が正常化する可能性があるとみています。

 

注目のセミナー情報

【資産運用】5月8日(水)開催
米国株式投資に新たな選択肢
知られざる有望企業の発掘機会が多数存在
「USマイクロキャップ株式ファンド」の魅力

 

【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意

次ページ新興国の株価水準…特定分野では明確な割安

【ご留意事項】
・本資料は、情報提供を目的としてシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、いかなる有価証券の売買の申込み、その他勧誘を意図するものではありません。
・本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。
・予測値は将来の傾向を例示することを目的とするものであり、その実現を示唆あるいは保証するものではりません。実際には予測値と異なる結果になる場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。
・本資料中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本資料の作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。
・本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
・本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、内容の正確性あるいは完全性については、これを保証するものではありません。
・本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。シュローダー/Schrodersとは、シュローダーplcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社 
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第90号
加入協会/一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録