「賃貸だと、老後が不安」な社会に変化が起きている
賃貸を選んだ場合は老後の生活に不安が残るでしょう。高齢者は賃貸しづらいという現状があるからです。また、老後生活で毎月住居費が掛かることも不安に思ってしまうでしょう。
日本ではこれからも超高齢社会が進展し、出生率も大幅な改善はのぞめないため、少子高齢化により人口が減り続けます。日本の持ち家率は60%を超えます。2人に1戸以上の持ち家があるということは、すでにいまの日本には国民が住むための住宅が確保されているということになります。これから少子高齢化が進めば進むほど住宅が余るということです。
ほとんどの人が相続により、祖父母や親から住宅を手に入れることができるでしょう。または、引継ぎ先がない不動産が格安で販売されるため、現金一括で購入してもいいでしょう。
一方、これから40%以上が高齢者になる日本では、「高齢者は賃貸できない」という風潮にも変化が起こるでしょう。不動産オーナーは高齢者に貸さざるを得なくなり、保証会社の条件も緩和せざるを得ない社会環境となるためです。
いずれにしても、今後老後生活に突入する日本人たちは、場所さえ選ばなければ住むところに困らないということです。
マイホーム購入にあたり、頭に入れておきたいこと
賃貸した場合と購入した場合のシミュレーションをしている記事をよく目にしますが、マイホームが老後の資産となる前提で試算しているものがほとんどです。しかし、少子高齢化が進む日本は、これからマイホームが老後資産にはなりづらくなる環境であることは間違いありません。
実は、賃貸と購入で経済メリットに大きな違いはありません。それぞれにメリットとデメリットが存在するためです。
日本の社会環境や中古不動産を取り巻く環境、これから起こるであろう大地震などの不確定要素を鑑みた場合、損得で判断できるほど単純ではありません。老後資金の資産形成という切り口では、マイホームの購入は不動産投資と同じ意味を持ちます。不動産投資は他の投資商品と比べて長期投資になるため、長期に渡りリスクヘッジをする必要があります。
マイホームを購入することで老後生活のリスクヘッジができるのか、長期間リスクを抱えてしまうのかは諸刃の剣であることを認識し、マイホームの購入を判断するべきです。
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次回は反響が多かった「ポートフォリオの組み方」について解説します。
村上 年範
クレディ・テック株式会社 代表取締役