(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、「国際基軸通貨であるアメリカドルが世界経済に与える影響」について解説します。
世界経済の中心はアメリカといっても過言ではありません。その最も大きな理由は、アメリカドルが国際基軸通貨であることです。アメリカの政策金利の推移やドル指数の推移は世界中から注目され、世界経済に大きな影響を及ぼしています。外国為替の基本からみていきましょう。

アメリカドルが「国際基軸通貨」になったワケ

まずはアメリカドルが国際基軸通貨になった歴史をおさらいします。

 

アメリカドルはブレトンウッズ体制より、1944年に国際基軸通貨となりました。もともと国際決済は金本位制でしたが、ブレトンウッズ体制によりアメリカドルと金の交換比率が固定され、各国の通貨はアメリカドルと交換比率を固定されることになりました。つまり、アメリカドルは金により担保され、その信用をもとに各国通貨はアメリカドルを介した固定為替相場制により成り立つようになったのです。

 

その後、1971年にはニクソンショックによりアメリカドルと金の交換停止が発表され、1973年に一部の通貨で変動為替相場制となりました。

 

とはいえ、アメリカドルと金の交換が停止されただけでニクソンショック後もアメリカドルを介した為替相場に変わりはなく、現在でもアメリカドルは国際基軸通貨として君臨し続けているのです。

 

アメリカドルが国際基軸通貨という立場を維持している要因には、世界最大の経済規模と中央銀行の独立性、対外取引に規制がないことが挙げられます。アメリカは中央政府と中央銀行(FRB)が切り離されており、独立性を担保しています。

 

経済規模で躍進している中国元が国際基軸通貨になるとの見込みもありますが、現段階ではこの条件は満たすことができないため、国際基軸通貨となる可能性は低いといえます。

世界各国、米ドルを「保有」しなければならない?

各国通貨の取引は現在でもアメリカドルを介しており、クロスレートとなっています。例えば、日本円をユーロに外貨両替する際には、実は一度日本円がアメリカドルに両替され、その後アメリカドルがユーロに両替されています。

 

各国の金融機関が円滑に外国為替の取引をするためにSWIFT(国際銀行間通信協会)というネットワークが使われているのです。海外送金をする際には送り先を指定するためにSWIFTコードが求められるので、言葉だけなら知っている方も多いでしょうが、外貨両替や海外送金の際にはこのネットワークが使われているのです。

 

つまり、SWIFTがなければ通貨の取引もできず、国際決済ができないということになります。昨今ロシアは経済制裁として、SWIFTから排除されました。この経済制裁の意味合いは、ロシアは国際取引ができないということです。

 

国際基軸通貨であるアメリカドルは、国際決済の手段として用いられ、外国為替の取引では中心となります。特に原油や金はすべてアメリカドルでしか取引ができません。そのため、世界各国でもアメリカドルを保有する必要があり、外貨準備やアメリカ国債を購入する必要があるのです。

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