物価高騰と恐ろしい円安…「日本人の海外旅行」に障壁
多くのニュースでアメリカの物価の高さが報じられています。ファストフードが日本の中級レストランと同じくらいの価格帯となっており、日本人に人気の観光地であるロサンゼルスやニューヨークの宿泊費は驚くほど高くなっています。
日系スーパーで売られている弁当ですら$15前後となっており、アメリカの物価は日本の感覚の3倍程度です。これでは日本人がアメリカに海外旅行に行くのは現実的ではありません。
そもそも日本の航空会社の燃油サーチャージが軒並み高騰しており、例え航空会社のマイルを活用しようとしてもあまりお得感がなく、海外旅行へのハードルは高まるばかりです。
最近、日本が入国の制限を撤廃したことにより多くの外国人が訪日することになるでしょう。多くの外国人が日本に海外旅行に来ていますが、その国籍は様変わりしています。ひと昔前まで日本人にとって物価が安く、海外旅行に行きやすかった東南アジア諸国の方々が「日本は物価が安い」という理由で訪日しているのです。
裏を返すといま日本人が東南アジアへ海外旅行に行っても以前のような物価安を感じることができません。
やがて東南アジア諸国に抜かれる「ビッグマック指数」
日本円の独歩安はいまだけの問題なのでしょうか。いまだけの問題なのであればいま海外旅行を我慢すればいいだけですが、これからも円安が続くのであれば日本人が海外旅行するハードルが益々上がることになります。
為替水準や購買力などを示す指標にビッグマック指数という経済指標があります。ビッグマック指数の主な目的は自国通貨の為替水準を測ることですが、一方で購買力の比較もでき各国の経済力を測る指標でもあります。ビッグマック指数は購買に対する税金などが加味されていませんが、物価推移の大きな流れを把握することができます。
そんなビッグマック指数ですが最近、日本のビッグマックの価格が韓国やタイに抜かれたことが報じられたことにより、「日本円の価値は下がりすぎた」「日本は貧乏になった」と話題になっているのです。
人口ボーナス期が到来し、経済成長著しい東南アジア諸国のビッグマック指数は上昇を続けています。今後、日本のビッグマック指数を東南アジア諸国が抜くのは時間の問題だということは容易に想像がつきます。
これが訪日外国人の中でも東南アジア諸国の外国人が増えていたり、東南アジア諸国に日本人が海外旅行に行っても以前のようなお得感がなかったりする要因です。
極論にはなりますが、日本人がこれからも海外旅行に行き続ける方策は外貨を得ることしかありません。日本円だけで資産形成をするのではなく通貨ポートフォリオとして外貨に分散するだけでは足らず、外貨を収入として得なければ、益々海外旅行に行くこと自体が難しくなるでしょう。