「私の人生を返して!」家族の犠牲になった末っ子が、遺産相続して最初にやったこと【相続のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

会社経営者の父と、次期後継者の兄と姉。自分も同じ道を歩むはずが、母が倒れたことで計画は大きく狂ってしまいます。ずっと家族のためにがまんしてきた末っ子は、父親の相続時に不満を爆発させますが…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

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末っ子の自分だけ蚊帳の外、家の雑務を押し付けられ…

今回の相談者は、40代の渡辺さんです。父親の相続をめぐり、きょうだいと関係が悪化した件について相談したいと、筆者のもとを訪れました。

 

渡辺さんは3人きょうだいの末っ子で、兄と姉がいます。兄と姉はそれぞれ20代半ばで結婚し、配偶者と子どもと暮らしていますが、渡辺さんは独身です。大学生のときに母親が倒れて以降、家の家事を切り盛りする必要があったため自宅にとどまり、婚期を逃してしまったということです。

 

父親は商才のある人で、会社を4社も経営していました。兄と姉は、父親が現役のときから後継者として会社経営に携わっていました。しかし、渡辺さんはずっと蚊帳の外に置かれ、家の雑務と父親の身の回りの世話だけ求められたといいます。

 

「兄と姉は大学を卒業後、他社で仕事を覚えてから父の会社に就職しました。父が直接仕事の手ほどきをしていました」

仕事を望む末っ子に、姉は「いまだけ辛抱して」

渡辺さんも、兄・姉と同様にいずれは父親の会社に入社するつもりで、大学では経営学を専攻しました。しかし、大学在学中に母親が倒れてしまい、介護が必要になりました。

 

「母親の介護と父親の世話で、勉強や就職どころではなくなってしまいました。大学卒業後、一度は会社に就職したのですが、とても家のことと両立できず、数ヵ月で退職しました」

 

それから数年後、母親が亡くなりましたが、渡辺さんの父親に仕事の話をしても「家のことはどうするんだ」といって取りつく島もありません。

 

不満を訴える渡辺さんに兄は無関心でしたが、姉は「私が社長になったら入社させるから、それまで辛抱して」と繰り返しました。

 

ワンマンな父親の身の回りの世話をする毎日でしたが、ある寒い日、父親は脳梗塞を起こして急死してしまいました。そのとき、渡辺さんは40歳を過ぎていました。

 

父親の相続は、すべて姉が取り仕切りました。父親の資産総額などまったくわからない状態のまま、姉主導でどんどん話が進みました。渡辺さんがなにを言っても相手にされず、そのうち目も合わせないほど関係が悪化し、ついには話し合いもできなくなりました。

 

状況を見守っていた筆者は、このままではさらなる状況悪化は避けられないと判断して間に入り、なんとか遺産分割協議は終了しました。渡辺さんは、姉が最初に提示した金額を大きく超える遺産を相続できましたが、きょうだいの関係には、修復不能な亀裂が入ってしまいました。

 

渡辺さんはすぐにマンションを購入し、新生活をスタートさせました。相続財産として、収益不動産と億単位の現金を手に入れましたが、渡辺さんの心には「家族に利用された」「家族に嘘をつかれた」という深い傷が残ってしまいました。

 

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株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。

著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

著者紹介

連載相続のプロが解説!人生100年時代「生前対策」のアドバイス事例

本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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