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「3つの要素」が大切だと思ったきっかけ
「英語を勉強すること」
「集団スポーツをすること」
「歯の矯正をすること」
この三つの要素が、「これから世界で活躍したいと思う子どもたちには大事なのではないか」と私が確信を持つようになったのは、私が尊敬する二人が、別々のシーンで同じ発言をしたからです。
その二人というのは、『ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと』(SBクリエイティブ)の著者として知られる鎌田洋さんと、ザ・リッツ・カールトン・ホテル元日本支社長の高野登さんです。
ここでは、その二人のキーパーソンの話をしたいと思います。二人の背景を知っていただくことで、「三つの要素」の必要性を、説得力をもって理解していただけると思います。
■ディズニーランドで夜間掃除を続けていた鎌田洋さんのこと
鎌田洋さんは現在、ヴィジョナリー・ジャパンという企業向けのコンサルティング会社の代表取締役をされています。
鎌田さんについては、『ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと』が中学校の道徳の本にも採用されていたので、ご存じの方も多いかもしれません。
ほかに『ディズニー おもてなしの神様が教えてくれたこと』『ディズニー 夢をかなえる神様が教えてくれたこと』(ともにSBクリエイティブ)など、いずれも話題となった本を書かれています。
これらは鎌田さんが、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドに勤務されていた時の話がベースになっています。ただ、鎌田さんは、簡単に同社に入社されたわけではありません。
鎌田さんは商社やハウスメーカーを経て、5度目のチャレンジの末にオリエンタルランドに入社されました。米国旅行で現地のディズニーランドに行って感動した経験があり、今度日本にもできるということで、当時勤めていた商社を勢いよく辞めたそうです。
ところが入社試験になかなか受からず、ハウスメーカーでアルバイトをしながら受け続けたとか。
そして、ようやく採用され入社したものの、配属先は「ナイトカストーディアル」、つまり、「夜間の清掃部門」でした。閉園後、誰もいなくなったパーク内を清掃する部門です。
もし、あなたが憧れのディズニーランドで働くことになった時、「閉園後の夜の掃除を担当してください」と言われたら、どう感じますか?
昼間の清掃「デイカストーディアル」であれば、来場者とコミュニケーションが取れ、質問に答えたり道を案内したりして「ありがとうございます」と言われます。しかし、閉園後の清掃ですから誰からもそんなことは言われません。
この部門に配属が決まると、泣いたり辞めたりする人もいるそうです。そんな部門に、鎌田さんは8年間在籍し、その仕事に真剣に取り組みました。
鎌田さんが言うには、「ディズニーの教えを理解するには、やっぱりナイトカストーディアルが一番だ」ということです。
同部門に勤務中、ウォルト・ディズニーがこよなく信頼を寄せていた、アメリカのディズニーランドの初代カストーディアル・マネジャー、チャック・ボヤージン氏から2年間にわたり直接指導を受けたそうで、「ウォルト・ディズニーの言っていることがよくわかった」とおっしゃっていました。
ただ、当時鎌田さんはあまり英語が得意ではなく、チャック氏とのコミュニケーションも、「英語がもっとできていれば、もっとスムーズにやり取りできたのかもしれない」と感じていたようです。
それで、私にも「これから何をするにしても、やはり英語はできたほうがいい」とアドバイスしてくださったのだと思います。
鎌田さんはその後、デイカストーディアルとしてお客様との関わりを学び、ディズニー・ユニバーシティ(教育部門)の教育部長代理となり、オリエンタルランド全スタッフを指導・育成し、東京ディズニーランドの現在の教育制度の基礎をつくり上げました。