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理想的な親の在り方は「サポーター」
■「塾なし受験」親ができること・すべきことは?
受験生にとっての理想的な親の在り方は、ズバリ「サポーター」だと考えています。親である私たちは、「受験生(我が子)を愛し、支え、応援する人に徹する」ということです。
サッカーでいうところの「サポーター」は、クラブにとっては欠かせない存在で、熱狂的にクラブを愛し、懸命に応援をします。勝負の世界で苦楽をともにし、金銭的にも精神的にも支えるため、選手のモチベーションにも大きく影響を与えています。なんだかよく似ていませんか? 勝負に向かう受験生を、金銭的にも精神的にも支え、懸命に応援している親の姿に。
親子関係は、もともと縦の関係なので、並んで走ることが時に難しい場合もあります。親と子、それぞれの性格や職業など、家庭環境は個別に全く違うものですから、十把一絡げにはできないですが、塾なし受験に挑戦する場合、親の在り方や立ち位置は、この「サポーター」のイメージが理想的ではないかと思います。
中学生の子どもはある意味、親に従属する関係性といえます。しかし、「塾なし受験」を目指す場合は、上から指示したり、決めつけでモノを言うのではなく、できるだけ伴走するサポーターの心構えでいましょう。横に並んで、もしくは周囲からサポートする、あくまでも主役(プレーヤー)は受験生です。
私は現在、公立小で学習支援のコーディネーターとして、学校教育のお手伝いをしています。校長先生など管理職を含め先生と話すこともあって、公教育について考える機会があります。
私が知る現場の先生は、毎日、真剣に子どもと向き合っています。子どもにとって学校は、一日のほとんどの時間を過ごす場所であり、先生は、子どもの未来に大きな影響を与える大人の一人です。先生一人ひとりに個性があるのは当然ですが、多くの先生は、やり方は違っても、目の前の児童・生徒に対し、懸命に向き合い、日々頑張っています。
そのような現場で、時折、子どもの学習を学校に任せすぎる保護者に出会うと、内心、少なからずもやもやします。やはり、子どもの教育は、学校と家庭の両輪でなされるべきもの、というのが持論です。親だけが必死で子どもを育てるわけでもなく、学校の先生だけが教育の責任を負っているわけでもない。少なくとも、子どもが必要とする教育にはどちらも必要だ、ということです。
両輪がうまく作用せず、一方だけではバランスが悪く、9年間の義務教育という道のりを走るのは難しい。一方にばかり負担がかかる状態ではうまく走れません。「子ども・学校・家庭」の三者一体のバランスの大切さを理解し、学校と家庭の両方から支えることで、子どもたちは健やかに成長していきます。
想像してみましょう。
例えば、学校の先生にとって我が子は、40人いるクラスの子どもの中の一人の児童・生徒です。親は、子どもを一対一に近いかたちで見ていますが、先生は、大きな輪の中にいるその子に対応しています。
我が子は、クラスの中心にいるわけでもなければ、先生の正面にいるわけでもない、ということ。それが、教室の普通の姿です。学校教育は、その教室内にいる児童、生徒に満遍なく与えられているものです。