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「塾なし高校受験」のデメリットは?
では逆に、塾なし受験のデメリットについても考えてみましょう。
お金を払えば、塾の先生がやってくれることを親がやるわけですから、最大のデメリットは、時間と手間がかかることです。
「家族の絆が強まる」メリットがあるということは、裏を返せば、子どもと向き合い、時間と手間をかけて受験をサポートしなければならないということ。高校受験のサポートを子育ての一環として、日常に組み込めるかどうかがポイントになります。
例えば、作戦を練り、計画を立てるなど親子で経験することから生まれるメリットと、そのためにかかる手間や時間は表裏一体。成長に必要なプロセスと考えるか、面倒な手間だと思うか、どちらかになるというわけです。
また思春期の中学生ですから、子どもと良好なコミュニケーションを取れる関係ができていればスムーズですが、そうでない場合は、コミュニケーション面で苦労する可能性があります。肉親よりも塾の先生など他人の大人のほうが話しやすい子どももいるでしょう。
塾なし受験のサポートをする時期は、家族関係が普段以上に密接になります。1年前後という限定された期間ですが、思うように成績が伸びない時期やコミュニケーションがうまく取れない場合、お互いに少し煩わしさを感じることが増えるかもしれません。
また、我が子の進路を塾任せ=人任せにしないということは、自分たちの責任のもとで受験し、万が一希望通りにいかなかった場合も、他人のせいにはできません。親として責任も大きくなります。「受験は失敗できない」のは、塾あり・塾なしも同じですが、塾なしの場合は、親子で頑張った結果をしっかり受け止めなければなりません。
この他デメリットとしては、受験の不安や心配事への対処法について、塾なし受験の参考事例が少ないことや相談相手を見つけにくいこと、などが挙げられます。
ここまで、塾なし受験のデメリットについて考えてみました。塾なし受験は、丁寧な暮らし・スローライフに似ているように思います。梅干しは買ってしまえばすぐ食べられますが、旬の青梅を買って自分で梅干しを作る。干して漬けるという手作りの楽しさ、出来上がりを待つ楽しさがあります。塾なし受験は「丁寧な子育て」です。子育てという旅の途中にやってくる受験期を、塾に任せず、自分たちで考えながら丁寧に過ごすことで、親子が成長する時間になるのです。