(※画像はイメージです/PIXTA)

「塾なし高校受験」で最も大切なことは、「受験は、子どもの未来のための選択」だということを忘れずに、人生の先輩としてアドバイスすること。自分で考え、自分で選択できるような環境を整えてあげることだといいます。塾なしで長男を志望校に入学させた塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)で解説します。

目指すべきは「学校と家庭」の両輪

「子どもの字が汚いので、もっときれいに書けるようにしてほしい」「九九を覚えられない」といった、個別に過度な要求を先生に望むことは、公教育の狙いから外れてしまいます。悩みを相談することはOKですが、漢字も九九も学校できちんと教わったその先は、各家庭の範囲になるでしょう。

 

義務教育期間の子どもに必要な教育・学習は、学校と家庭がセットで行うべきで、子どもが小学生から中学生になったとしても、このことは、あまり変化しないのではないかと思います。

 

公教育は、家庭のサポートがあってこそ。

 

子どもが成長していくにつれ、手は離しても、目や心を離すことなく、しっかりと子どもに向かう。必要な場合は、手を差し伸べる。並んで走る。家庭の役割は、「子どもの力」を伸ばしていくこと。義務教育期間、親である私たちは、自分たちも教育現場の中心にいるということを自覚すべきだと思います。

 

子どもが小学生の頃は、音読を聞き、宿題の丸つけをしていたご家庭が多かったでしょう。

 

子どもがわからないと言う算数の質問に答え、教えることもあったでしょう。それなのに、中学生になった途端に、特に勉強のことは塾任せにしてしまう、もったいない家庭が多いように感じます。子どもを「学校と塾」の両輪で走らせるのではなく、「学校と家庭」の両輪で走るスタイルは、今はマイナーなスタイルですが、実際にしっかり走れるコスパの高いやり方なのです。

 

話は少し変わりますが、子どもに度を越した勉強をさせる「教育虐待」という言葉を耳にすることがあります。この問題は、親が子の受験や進路について、本人の意思を無視する、または軽視することが前提にあります。その上で、親が子どもに過度に求め、肉体的・精神的に苦痛を与えてまで勉強を強いる状態のことです。

 

この問題は、特に中学受験をする小学生の親に見られることが多いそうですが、高校入試でも同じ状況に陥る可能性はあります。実際に、親子で志望する高校が違い、父親が強く望んだ高校を受験し不合格になった話を聞いたこともあります。

 

当たり前のことですが、最も大切なことは、「本人が納得して志望校を選択する」ことです。中学受験については、子どもはまだ小学生ですから、親の考えがなおさら色濃く(ほとんど親が決めていると想像しますが)、「教育虐待」といった、本末転倒な悲劇に陥ってしまうのかもしれません。

 

高校受験を控えた子どもと一緒に走る際に忘れてはいけないこと、それは、親は「サポーター」だということです。受験は子どもの未来、子どもの人生のための選択で、決して、私たち親の人生の選択ではない、ということを忘れてはいけません。子どものことを懸命に考え、熱心になればなるほど、見えなくなってしまうこともありますから、冷静に伴走するよう心がけが必要です。

 

志望校を選択するとき、お子さんはもしかすると、親の思いとは別の選択をしようとするかもしれません。親心としては悩ましいところですが、そのときは、まず親の思いや考え、「親がなぜそう考えるのか」をきちんと子どもに伝えて、しっかり話し合ってみましょう。

 

志望校選びは、約8割の子どもが「保護者の話」「高校の見学会や説明会」を参考にしたという調査結果があります。親は自分の理解者であり、受験校や進路の相談相手だと考えている中学生が多い、ということでしょう。(※ベネッセ教育総合研究所 高校受験調査 2011年)それでも、もし最終的に本人が違う選択をすると言うならば、少なくとも私は受け入れます。

 

次ページ「受験は子どもの未来の選択」である

※本連載は塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「塾なし」高校受験のススメ

「塾なし」高校受験のススメ

塚松 美穂

プレジデント社

たくさんの習い事に、塾を掛け持ちしている小学生。中学生になれば、学習塾にいくのが当たり前の世の中で、周りを見れば塾通いのクラスメートばかり。「塾にいかないと子どもたちは希望する進路に進めないのだろうか」という疑…

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