債券価格を下げて発行するから金利が上がる
■国債と金利の関係
国債の金利が上がるのは、国家の信用がないからという話を聞くと思います。これを理解するには、長期的な視点と短期的な視点が必要です。
長期的に国債がどんどん売られるのは、ギリシャ危機のときのギリシャ国債がいい例になります。これはギリシャの政府、あるいは国そのものに信用がおけない、彼らは国債償還などできないに決まっているということで、ギリシャ国債を買う人がいない。売りだけあるという状況です。こうなると需要と供給の関係でギリシャ国債は暴落します。
取引の対象は元本の部分です。要するに元本が本来100円で、100円で取引されればトントンです。それで最初に発行されたときの元本が100円で、金利が2%だとします。この国債の相場というのは変動します。要するに100円だったものが50円にもなるし、200円にもなり得るわけです。ところが支払う利子は発行価格(元本)100円に対する2%(=2円)で同じです。
繰り返しますが、取引されるのは元本の価格です。だから、先のギリシャ国債のように元本価格が暴落していく、例えば100円だったものが50円になるとします。そうしたら元本50円で2円の金利を払わねばなりません。
それで金利が高くなるというわけです。即ち、最初の金利は2%ですが、元本が50円になると、金利は4%になる。
これが信用の少ない国債の金利が上がる仕組みです。国債の利回りはこういうカタチで計算されていくわけです。
恒常的に赤字国債というか、国債を発行しないと政府財政が回らない状況になると、先ほどの例で言うと、今度は元本を10円まで下げて、最初から高い金利20%の国債を発行せざるを得なくなる。20%の金利で借金してしまうと、もう首は回らないという話です。
国債も債券のひとつです。だから、信用度が低いと、その債券を買う人がいません。いたとしても少ない。その場合には債券の値段を下げて発行します。ただ、利子は変わりませんから、金利がドーンと上がるわけです。
だから、ギリシャ危機のときに、ギリシャの発行するユーロ債は金利が数十%になりました。同じユーロ債でも、ドイツが発行するユーロ債は金利が2%くらい。ギリシャが発行したら、金利は数十%。
そんなところに投資をする人はまずいないと思いますが、もしもその債券を買って自分のお金の使用権を手放すなら、よほどの対価がないと嫌だということになります。それで金利が上がるというわけです