
国公立・私立問わず、医学部入試では小論文・面接の配点が高く設定されている大学も多くあります。学科試験の勉強だけしていればいいというわけではないのです。では、医学部は小論文と面接から、受験生の人間性をどのようにして探るものなのでしょうか。実際に小論文や面接で出題された問いとともに、医学部受験専門予備校メディカ代表の亀井孝祥氏が解説していきます。
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医学部の重視する人間性…試験でどう回答する?
東京大学の募集要項には、理科三類入学者について、「面接試験の結果を含めて総合的に判定し、将来、医療や医学研究に従事するのにふさわしい資質を持った受験者を、合格者とします。したがって学力試験の得点にかかわらず不合格となることがあります。面接試験で受験者の人間的成熟度、医学部への適性、コミュニケーション能力等を評価します」と記されています。
例として日本の最難関大学の一つを挙げましたが、近年、さまざまな大学の医学部で人間性が重視されるようになってきています。
では、医学部に入学するにはどういう人物に「なればいい」のでしょうか。
「なればいい」という表現はおかしいのではないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし筆者は仕事柄、多くの学校説明会に参加するなかで、面接について「15分間演技してください。演じきれればあなた方の勝ち。演じきれなければあなた方の負け」とはっきり耳にしたことがあります。そのためあえてこのような表現をしました。
まずは二次試験の小論文・面接の問題例を4つご紹介します。下記の絵や写真が提示されて、それについて「タイトルをつけなさい」「あなたの感じたことを論述しなさい」といった問題が立てられました。
①古い病院の待合室のような場所に人がひしめきあうように座っており、その横に白衣を着た医者が立っている絵
②泥にまみれた1匹の犬を抱きかかえている軍人の写真
③絵(聞き取りをもとに復元した[画像]参照)

④鳥かごの横で女の子が泣いており、鳥かごの中で小鳥が死んでいる様子が分かる。その横で白衣を着た医者が「ご臨終です」と言っている絵
このような問題について、学校側は一体何を書かせ、言わせたいのでしょうか。
実際に④について感じたことを論じ、合格した生徒が「なにがよかったのか?」と大学の先生に尋ねに行くと、先生は、
「大学病院のなかでは、このようなシチュエーションで平気で『ご臨終です』と言ってしまう医者がいるんだ。本学としてはそういう人には来てもらいたくないと思っていて、それを絵とし、問題にした」
と返答しました。