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「わかった。受験しなくていいよ」と伝える“メリット”
●いったんリセットして、勉強から離れるのも手
もしわが子から「受験を諦めたい」と打ち明けられたら、親はどのように受け止めてあげるべきでしょうか? 勉強に疲れてしまった様子の子どもに対して、「何泣きごとをいっているの?」「今まで頑張ってきた苦労が水の泡じゃない」と発破をかけますか?
ちょっと待ってください。それは逆効果かもしれません。
高校時代の3年間、いえ、それよりも長い期間、頑張り続けていた人もいることでしょう。体力的・精神的に参ってしまったとはいえ「できれば合格まで頑張ってほしい」と願うのが、親心というものです。なんとかやる気を取り戻してくれる術はないものでしょうか。
「もう医学部受験を辞めたい」と打ち明けてくるくらい落ち込み、気が滅入っているならば、親のほうから「わかった。もう勉強はやめなさい。受験しなくていいよ」と伝えてあげてください。
もちろん、これは一時的なものです。大切なのは「受験を諦める」のではなく、「受験からいったん気持ちを遠ざける」ようにすることです。
一度、受験生の呪縛を解いてあげれば、彼らは一時的にのびやか、晴れやかな解放感に包まれます。
勉強をやめたことで時間に余裕ができますから、スポーツや読書あるいは観たかった映画を観るなど、今までできなかったことをやってみるのも気晴らしになるでしょう。どんどん気晴らしをさせてあげてください。(もしできれば映画は「ヒューマンドラマ」のジャンルを勧めてみてください。)
しかし、毎日好き放題にして過ごしていると、不思議なことに、数週間で受験生本人が「物足りなさ」を感じてきます。そして我に返るのです。「あんなに頑張っていた勉強をなぜやめたのだろう?」と。
人は、ある程度のストレスを感じていたほうが精神的に安定するといいます。ストレスが過剰になると何もかも投げ出したくなりますが、まったくなくなると、逆に不安になるのです。
特に、医学部を目指す子どもたちは大変真面目です。これまでと違った生活環境(=趣味や遊びの世界)に自分の身を置くと、勉強漬けだったときの頭の中がリセットされます。しかし、一定の時が経てば、気晴らしが退屈に思えてくるものなのです。
これまで沢山の受験生を合格に導くことができた経験からいえることですが、たとえ少しの期間を受験勉強以外に費やしたとしても、合格圏内まで学力を伸ばすことは可能です。
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ただ親御さんからは、「うちの子は一体いつになったらやる気を出してくれるのか、心配で仕方がない」という声もよく聞かれます。であれば、親御さん自ら、気になった塾や予備校のカリキュラムや指導方針を伺ってくることをお勧めいたします。
私の予備校でも受験シーズン中、2月に入ると多くの親御さんが、お子さんが医学部に落ちたときのことも考えて、来校やオンラインで相談を受けにいらっしゃいます。お子さんが試験会場に行っているときの方が相談しやすいというのもあるようです。
これから少し気候も暖かくなってくるとお子さんの気持ちもリセットされ、「心機一転もう一度頑張る!」という子も少なくありません。そのタイミングで次の環境が準備できるよう、親御さんの方でいろいろ調べておくことができれば、お子さんはまた再び、自分の夢に向かって走り出してくれます。
「じゃあどこか説明会にでも行ってみる?」とお子さんを誘い、事前に相談に行った塾や予備校に一緒に出向いてみるのもいいでしょう。