遺言信託のメリット・デメリット
この章では信託銀行の遺言信託のメリットとデメリットをご紹介します。これらのメリット・デメリットをよく理解して、遺言信託が自身や家族に見合ったものかどうか検討することをおすすめします。
■遺言信託のメリット
遺言信託のメリットには次のようなものがあります。
●遺言の執行を代行してもらえる
●個人の専門家に比べて長期的なサポートが期待できる
遺言書を作成するには、遺言書の書き方だけでなく相続に関する専門知識も必要です。自分だけで遺言書を作成すると、形式の不備で無効になったり、内容の不備が原因で家族どうしのトラブルを招いたりすることもあります。
公正証書遺言は作成のときに公証人と証人が立ち合いますが、遺言内容のチェックを受けられるわけではありません。信託銀行では、遺言者の希望を実現するために遺言内容をどのようにすればよいかアドバイスが受けられます。
遺言の執行、つまり相続の手続きを代行してもらえる点も遺言信託のメリットです。預貯金の名義変更や不動産の相続登記、相続税の申告など、相続の手続きは多岐にわたります。これらの手続きには数多くの書類をそろえる必要があり、手続きを専門家に任せるメリットは大きいでしょう。
遺言信託と同様の業務は弁護士や司法書士など個人の専門家に依頼することもできますが、個人ゆえの問題点もあります。それは、遺言者が亡くなるよりも先に依頼した専門家が亡くなるケースがあることです。専門家が先に亡くなった場合は、新たに別の専門家を探して遺言の執行を依頼する必要があります。
信託銀行では、遺言書の保管や遺言の執行といった業務に組織として対応するため、担当者が変わることはあっても業務が途切れることはありません。
■遺言信託のデメリット
遺言信託のデメリットとしては、次のような事項があげられます。
●子の認知など財産に関するもの以外は引き受けられない
●訴訟に発展しそうな場合は引き受けられない
遺言信託のデメリットの代表例は高額な手数料です。契約するときや遺言を執行するときなどに手数料が必要で、総額が200万円を超えることも珍しくありません。手数料については、次の項目「遺言信託の手数料」で詳しくお伝えします。
遺言でできることが財産・相続に関する事項に限られている点にも注意が必要です。信託銀行が遺言執行者としてできることは財産・相続に関する事項だけで、子の認知、未成年後見人の指定など、身分に関する事項はできません。
相続人どうしで訴訟など法的紛争が起きている場合や、起こることが予想される場合は、信託銀行は遺言執行者にはなれません。法的紛争の解決は別途弁護士に依頼する必要があります。
■遺言信託の利用をおすすめできる人
ここまでお伝えした遺言信託のメリットとデメリットから、次のような人に信託銀行の遺言信託の利用をおすすめします。
●遺言の作成から執行までの手続きを1か所で済ませたい人
●相続人が少なく争いになる可能性が低い人
遺言信託の手数料
遺言信託の手数料は次の業務が行われるつど必要で、総額が200万円を超えることもあります。
●遺言書を保管している間
●遺言書の内容を変更するとき
●遺言者が死亡して遺言を執行するとき
手数料の金額は金融機関ごとに異なり、同じ金融機関でも手数料体系が異なる複数のコースを設定している場合があります。下記の図表2では目安として代表的な手数料の金額をご紹介しますが、契約にあたっては事前に各金融機関に確認してください。
遺言執行の手数料は遺産の額に応じて一定の料率をかけて計算しますが、遺産の額が多いほどその多い部分については料率が低くなります。また、契約した金融機関にある資産については、金額にかかわらず低い料率が適用されます。
遺言書の作成や遺言の執行の手続きにかかる実費は別途請求されます。遺言の執行で司法書士や税理士に依頼した場合の報酬も別途必要です。相続人が多い場合や遺産の数と種類が多い場合は、特別料金を請求されることもあります。
注目のセミナー情報
【事業投資】3月22日(土)開催
年商5億円も夢ではない
なんと⁉店舗継続率、驚きの97.3%!
「買取大吉」のリユースビジネスの秘密とは
【税金】3月25日(火)開催
“国税OB不動産専門税理士が登壇“不動産投資セミナー
実物件を使ったシミュレーションで学ぶ賢い不動産投資術!