やりたいことより、やらないことを決めると商売は繁盛するという。

時間は有限です。これまでを振り返ると、3つのやらないことを決めたことが飯田屋に繁盛と、互いが助けあう職場環境をもたらしました。一つひとつの商いを大切にするために「やらないこと」と決めることは、「やること」を決める以上に大切だといいます。飯田屋6代目店主が著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)で解説します。

いい会社には、いい人たちが必ずいる

「少しでも値引きしてくれれば買うのに……」
「そんな態度なら、二度と買わない」

 

こう言われ、買物かごいっぱい30万円ほどの商品すべてをキャンセルされた経験もあります。「値引きしないなんてカッコつけやがって」と嫌味を言われ、悔しい思いをした接客もあります。

 

それでも、声高々に値切った人だけが得をして、人によって価格が変わる商売が本当にいい商売だとは思えなかったのです。いつか継ぐことになる僕の後継者が価格競争で苦労する会社にしたくないというのも理由の一つです。

 

三つ目の「売上目標やノルマ」をやめた理由は、目の前のお客様に真摯に向き合いたかったからです。

 

目標やノルマがあると、無意識に少しでも高いものを売ってしまう性さがから逃げられません。向上心が強い従業員であればあるほど、昨対比を超えようと数字に囚われてしまいがちです。中には「目標がないと、どう働けばよいのかわからない」と、離れていく従業員もいました。しかし、昨対比が人の成長を表すわけではありません。

 

いい会社とは、扱う商品やサービスによって決まるわけではありません。そこで働く人たちによって決まるのです。いい会社には、いい人たちが必ずいます。

 

いい人たちが少しの嘘もつくことなく、いい人たちのまま働ける環境をつくることが経営者にとってもっとも重要な仕事です。売上目標のために、嘘をつかせなければならないような環境があってはいけないのです。

 

最近では、テレビ通販会社から出演オファーをいただくことがあります。影響力のある番組からお声がけをいただけるのはたいへん光栄です。

 

もし出演したなら、たくさん売れることでしょう。しかし、お断りしています。

 

なぜなら、通販番組には売上目標があるからです。そうなると、売る必要のないお客様にまで売らなければならなくなります。

 

もし、売上目標もなく、商品の真実を語ってもいいというオファーがあったら喜んで出演させていただくのですが……。

 

残念ながら、すべての人に便利だと感動していただける商品はありません。それでも、目の前の人にとって便利だと思っていただける商品はこの世に存在します。

 

一つひとつの商いを大切にするために「やらない」と決めることは、「やる」と決めること以上に大切なのです。

 

飯田 結太
飯田屋 6代目店主

 

 

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※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

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