比較的初期の段階から見られる「もの忘れ以外の症状」
ここまで、もの忘れの症状に絞って老化と認知症の違いを述べてきましたが、認知症の症状は記憶障害(もの忘れ)だけではないことは、すでによく知られていることと思います。
認知症といえば一般によく連想される「徘徊」も、進行とともに出現し得る症状の一つです。ほかにも幻覚、妄想、興奮、排泄や食行動の異常など、認知症によって現れる症状は多岐にわたります。これらを総称して周辺症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)といいます。
確かに、記憶障害は認知症の中核症状(コアとなる症状)ではありますが、むしろ介護者にとってはBPSDのほうが対応困難となり、負担が重くなる傾向にあります。
BPSDは、認知症が進むほどひどくなるというものではありません。比較的初期の段階から中期にかけて見られることのほうが多いのです。終末期になると脳の機能が極端に衰えるために、ほとんどのケースでこうした症状さえ少なくなっていきます。
なお、中核症状には記憶障害のほか、失認、失行、失語、実行機能障害もあります(図表2)。
失認は、知っているはずの場所で迷子になるなど、空間的な認識ができなくなることです。
失行は、例えば使い慣れていた電化製品が使えなくなるといったように、それまでできていたことが、できなくなることです。
失語は固有名詞が出てこなくなり「あれ」「それ」などの指示語が多用されることです。
実行機能障害は料理ができない、風呂に入る手順が分からなくなるなど、作業の段取りができなくなることを指します。
旭俊臣
旭神経内科リハビリテーション病院 院長
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】