(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症の重症化を防ぐには、疑いが出てきたら早期診断・早期ケアを受けることが重要です。しかし、認知症は歳を重ねるごとに発症リスクが高くなっていく一方で、患者自身も家族も「ただの老化だろう」と思い込んでしまい、発見が遅れるケースが珍しくありません。そこで今回は、認知症の専門医・旭俊臣医師が「老化によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いについて解説します。

比較的初期の段階から見られる「もの忘れ以外の症状」

ここまで、もの忘れの症状に絞って老化と認知症の違いを述べてきましたが、認知症の症状は記憶障害(もの忘れ)だけではないことは、すでによく知られていることと思います。

 

認知症といえば一般によく連想される「徘徊」も、進行とともに出現し得る症状の一つです。ほかにも幻覚、妄想、興奮、排泄や食行動の異常など、認知症によって現れる症状は多岐にわたります。これらを総称して周辺症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)といいます。

 

確かに、記憶障害は認知症の中核症状(コアとなる症状)ではありますが、むしろ介護者にとってはBPSDのほうが対応困難となり、負担が重くなる傾向にあります。

 

BPSDは、認知症が進むほどひどくなるというものではありません。比較的初期の段階から中期にかけて見られることのほうが多いのです。終末期になると脳の機能が極端に衰えるために、ほとんどのケースでこうした症状さえ少なくなっていきます。

 

なお、中核症状には記憶障害のほか、失認、失行、失語、実行機能障害もあります(図表2)。

 

[図表2]認知症の症状

 

失認は、知っているはずの場所で迷子になるなど、空間的な認識ができなくなることです。

 

失行は、例えば使い慣れていた電化製品が使えなくなるといったように、それまでできていたことが、できなくなることです。

 

失語は固有名詞が出てこなくなり「あれ」「それ」などの指示語が多用されることです。

 

実行機能障害は料理ができない、風呂に入る手順が分からなくなるなど、作業の段取りができなくなることを指します。

 

 

旭俊臣

旭神経内科リハビリテーション病院 院長

 

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※本連載は、旭俊臣氏の著書『増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症

増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症

旭 俊臣

幻冬舎メディアコンサルティング

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