(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差▲1.0で4ヵ月ぶりの下降、一致CI▲0.5と4ヵ月ぶりの下降

 

「足踏みを示している」継続。2月分一致CI前月差ある程度プラスなら「改善」も

 

 

 

●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲1.0と4ヵ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、日経商品指数の2系列が前月差プラス寄与度に、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差マイナス寄与度になった。3月4日と通常よりも公表が遅かった新規求人数は速報値では採用されなかった。

 

●1月分の一致CIは前月差▲0.5と4ヵ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な7系列では、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の3系列が前月差プラス寄与度に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、輸出数量指数の4系列が前月差マイナス寄与度になった。3月4日と通常よりも公表が遅かった有効求人倍率は速報値では採用されなかった。

 

●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年1月分で「上方への局面変化」に上方修正され、2月分では判断が据え置かれた。3月分で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正され、4月分~8月分と「改善」の判断は据え置きになっていたが、9月分では「足踏みを示している」に下方修正され、10月分~12月分では「足踏みを示している」の判断が継続となった。

 

●今回1月分でも「足踏みを示している」の判断が継続となった。1月分の3ヵ月後方移動平均は前月差+1.13と3ヵ月連続の上昇になった。しかし、一致CIの前月差が下降になってしまった。「改善」に戻るためには、「3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇」という条件があるため、今回は「足踏みを示している」の判断が継続となった。

 

●1月分の先行DIは37.5%3ヵ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がプラス符号に、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数の5系列がマイナス符号になった。

 

 

●1月分の一致DIは100.0%と3ヵ月連続で景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の全系列がプラス符号になった。

 

●2月23日発表予定の1月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに新規求人数と実質機械受注(製造業)が加わる。新規求人数は前月差マイナス寄与度になるとみた。機械受注の発表日は3月17日である。実質機械受注(製造業)は3ヵ月ぶりの前月比減少になると予測する。また在庫率関連データが3月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。先行CI改定値は下方修正の可能性があるとみる。先行DIは新規求人数と実質機械受注(製造業)がプラス符号で加わると見て、速報値の37.5%から50.0%に上方修正されるとみる。

 

●1月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数と有効求人倍率が加わる。労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られている。内訳をみると、雇用者数(非農林業)は労働力調査のデータで前月比▲0.5%の減少であることが判明している。一方、毎月勤労統計・速報値の総実労働時間指数(調査産業計)は前月比+0.5%の増加である。また、1月分確報値は4月5日に発表されるため、1月の一致CI改定値では速報値が使われる。1月分の労働投入量指数・前月差寄与度は0.0%程度と予測する。有効求人倍率は前月差プラス寄与度となろう。また、生産指数関連データが3月16日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが同じく3月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。一致CIは改定値で上方修正の可能性があるとみる。1月分の一致DIは速報値で100.0%だったが、新たに加わる労働投入量指数と有効求人倍率の符号もプラスなので、改定値でも100.0%になるとみた。

 

●2月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数の1系列が前月差プラス、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナスである。

 

●また、2月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列がプラス符号に、消費者態度指数、東証株価指数の2系列がマイナス符号になることが判明している。2月分速報値段階の先行DIは22.2%以上77.8%以下になることが確定している。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年1月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2022年3月8日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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