本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社の最新レポート『転換点に到達したか?』から一部を抜粋・編集したものです。

サプライチェーンの混乱…年後半には弱まるか

当社のグローバル・マクロ・グループ CIO(最高投資責任者)であるマイケルの見解によると、燃料や食料などの商品価格を押し上げているサプライチェーンの混乱は、ロックダウンによる悪循環を避け「コロナとの共生」政策に向かう国が増えるにつれて、今年後半には弱まる可能性が高いようです。

 

これは、エネルギー価格がインフレの主な要因であった欧州にとっては朗報です。しかし、米国では賃金上昇と労働力不足という問題があります。歴史的にみると、通常厄介なインフレを引き起こすのは労働力の問題です。

 

マイケルは、米国は欧州などの地域よりもはるかに高い賃金上昇を示していますが、これは主に米国特有の3つの要因によるものだと考えています。

 

まず1つ目は、米国の地方労働市場では、多くの人にとって手が届かないほど住宅価格が高騰していることが挙げられます。単純に、人々は、多くの企業が採用活動を行う場所に住む余裕がないのです。

 

2つ目は、合法・非合法にかかわらず、米国への移民が大幅に減少し、労働力不足となっていることです。

 

3つ目は、高齢者層が早期退職を選択し、貯蓄を増やすために物価の安い地域へ移住していることが挙げられます。米国の賃金上昇は生産性や経済成長と結びついているため、インフレに関する大きな不確定要素であり、注視すべきものです。

 

米国企業が賃上げを消費者に転嫁する価格決定力を持てば、インフレ上昇を加速させる可能性があります。そして、このようなインフレの上昇により、FRBが現在予想されている以上の大規模な政策対応を行う可能性があり、米国経済の成長停滞リスクが高まる可能性があります。

中国のマクロ政策

ブランディワイン・グローバル、ディレクター・オブ・グローバルマクロ・リ サーチのフランシスは、世界経済に目を向けると、中国における大幅な景気減速に対する懸念は誇張されすぎていると考えています。かつて、新興国市場はFRBの利上げに追随することが多くありました。

 

しかし、今回のパンデミックを通じて、中国は新型コロナウイルスと中国経済への対応を独自に進めています。足元では中国は利下げをしており、フランシスは、中国では米国とは異なり緩やかなリフレサイクルが始まり、巨大な成長エンジンが活性化するとみています。

 

中国は当面、北京冬季オリンピックの期間中は青空を確保するために工場を閉鎖する可能性が高いと考えます。しかし、その後、中国政府は、インフレが進まないように注意しながら、経済成長を高めるために、豊富な政策手段を展開することになるとみています。

 

一方、当社リサーチ・ヘッドのジーンは、中国の経済成長にはより慎重な見方をしています。中国のゼロコロナ政策による完全なロックダウンと、国産ワクチンの有効性の低さから、中国が安定した成長軌道を維持できるという仮定は、それほど確実性がないと考えています。

 

全体として、ジーンのチームは、厳格なゼロコロナ政策を展開している中国や一部の新興国に対しては、経済成長が制限されるため、あまり楽観的ではありません。カナダ、日本、米国、ユーロ圏のような、より開放的な経済圏を選好しています。

 

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