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4つの事例を通じ、解決プロセスを具体的に理解する
現場に深く入り込んだうえで課題を抽出し、クライアント企業と一緒になって課題解決をしていくコンサルティング手法「ハンズオン型」コンサルティングでは、中小企業の課題を解決するにあたり、中小企業が成長の踊り場へと至る典型的なパターンを前提としています。
「モグラたたき」パターン
「悪しき平等主義」パターン
「笛吹けど踊らず」パターン
「迷走する組織」パターン
(※ 詳細は『中小企業が伸び悩む典型的な4パターン「モグラたたき」「悪しき平等主義」「笛吹けど踊らず」「迷走する組織」』参照)
「悪しき平等主義」パターンの危険の予兆
今回は、「悪しき平等主義」パターンに該当する、危険の予兆について見ていきましょう。
理由が不明、もしくはありきたりで対策が打てない状態だと危険
「何だか仕事の話があまり聞こえてこないな」
「内定辞退や入社してすぐの退職が増えたのはなぜだろう」
「どうして優秀な社員が辞めていくんだろう」
「成績の悪い社員に限って辞めていかないんだよな」
「新人の成長スピードが遅くなっているんじゃないか」
「売上は伸びても利益がほとんど増えていないな」
●危険の予兆とはどのようなものか
このパターンにおいては、経営者のトップダウン傾向が強く、社員にはやらされ感が生まれています。それに加えて、社員間の処遇にほとんど差がないため、能力が高く頑張っている社員ほど不公平感を抱きます。
そして、このパターンに陥った経営者が口にするのが次のような台詞です。
「全体最適を考えると、業績の良い部署の社員だけ待遇を変えるのは望ましくない」
しかし、能力の高い社員が不満をもっている状態なので業績が向上するはずもなく、経営者は指示の強度をどんどん高めていきます。それを受けて動く社員の側の力は弱まっていきます。トップダウンが強くなればなるほど、期待と実態との乖離は大きくなっていくことになります。ほとんどの場合、能力の高い社員が低い社員を助ける図式が顕著になっていきます。
●能力差は明らかなのに、給料に差がなければ…
能力差は明らかなのに給料には差がないとすれば、能力の高い側の社員が考えることは大きく2つに分かれます。
1つには、この「悪しき平等主義」を受け入れることができず、働く環境を変えるという決断です。能力がある社員ほど、この方向に傾くことになります。転職してもそれなりの処遇を得られる可能性は高いでしょうし、何より、自身のプライドを満たすことができます。
そしてもう1つは会社は辞めないが、頑張ることをやめるという決断です。頑張っても頑張らなくても処遇が変わらないのであれば、頑張ることをやめて楽な生き方を選択するのは、合理的な判断といえます。
このような事態に際して阻害要因になりやすいのは、やはり経営者と現場の間にいる役員や幹部です。
確かに、社員の処遇に差を設けないとの決断自体は経営者が行っており、その意味では経営者にも責任なしとはいえません。しかしながら、こうした決断に至るまでには、もちろんそれなりの情報収集を行っています。幹部たちに対して現状の報告を要求し、その結果から最適な判断をしようと試みます。
このときに経営者に対してイエスマンとなっている幹部たちが、何より自分自身の処遇を下げたくないとの意図から、「部下の処遇を守りたい」という建前を構築することで、経営者に対して真実が伝わらなくなってしまいます。
「みんな頑張っているから」といった建前を武器に、自分の処遇を下げることなく、悪い意味で全体の処遇が据え置きになります。辞めていく社員は、基本的には経営者に対して不満を抱いているはずです。しかし、退職の理由は「一身上の都合」的なありきたりなものしか告げずに、去っていくことになります。
残った社員もイエスマンの幹部ではなく経営者に対して反発し、やる気をなくしているケースがほとんどです。もちろん、そうなる理由が経営者の耳に届くことはありません。
このようにして、経営者にとっては理由の分からない退職、ありきたりな理由による退職、ほとんど思いあたるところのないやる気のなさなどといった事態が生じることになります。
さらに、このような予兆が見え始めた組織では、誰もが自分の身を守ることだけを考え、仲間に対する関心やケアの気持ちがなくなっていきます。その結果、例えば新入社員の成長スピードが鈍化します。プラスアルファの仕事をしても、自分の処遇には反映されない。だとすれば、やるだけ損になるし、下手に責任を負わされてもかなわない。そうした考えが組織の成長を押しとどめ、会社を踊り場へと運んでしまうのです。
株式会社ココチカ
代表取締役社長 山中 一浩
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