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同友会企業専用提携ローンの開発
こうした状況下で、16年10月、沖縄同友会は沖縄海邦銀行と包括連携協定を結ぶ。直接的な端緒となったのは、同友会会員で、地域活性化や人材育成のコンサルタントを行う、カルティベイト社長の比嘉梨香氏が15年に海邦銀行社外取締役に就任し、同行と同友会双方に連携の提案を持ち掛けたことである。
実はそれ以前に、沖縄同友会は13年に海邦銀行を含む地元金融機関と提携して事業性ローンを組むことで協力したことがあった。だがその際、信用保証協会の保証が必要との一項があったことから、「保証協会の審査で融資が決まるまでに時間がかかり、早く資金を手当てしたい企業側には使い勝手が悪かった」(宮沢賢沖縄同友会経営委員)ために、頓挫した経緯があった。
そうしたこともあり、最初の両者の打ち合わせは疑心暗鬼でぎくしゃくしたものにならざるをえなかった。ただ毎回2時間ほどの打ち合わせの後、懇親会を開き、胸襟を開いて話し合いを重ねた結果、連携協定は互いの研修会やセミナーへの参加や講師派遣、銀行主催のビジネスマッチングへの同友会会員企業の参加、融資提携商品の開発など幅広い内容になった。出席者は同友会側が小渡玠(okicom社長)代表理事(当時)らと、政策委員長だった赤嶺剛・現副代表理事(スタプランニング社長)、海邦銀行側は大濱薫専務(当時)、兼城賢雄常務に担当部長らであった。
「一時期、比嘉さんの下で働いていたことがあり、最初に相談の電話を受けた」という赤嶺氏は、「実のところ同友会会員は、案外、海邦銀行さんと付き合いがなかった。しかし、話し合っているうちに、お互いに連携は必要だということがわかってきた。そして、3回目の会合くらいに海邦銀行さん側からあらためて提携ローン(融資提携商品)を作りませんかという話が出てきたのです」という。
対して上地頭取はこう語る。
「われわれにとり最終的に重要なのは、取引先の社数。そこが増えていけば、たとえ今が500万円、1000万円という融資額でも、その中から将来1億円の取引となる会社が出てくる可能性があります。そうなれば銀行冥利に尽きます」
沖縄同友会は現在、1200社の会員企業がある。それだけの数の企業と関係ができ、取引先にしていくことができれば、海邦銀行には大きなメリットとなるということだ。
提携ローンの話に入ると、従来のように信用保証協会が加わるようなものでは意味がないと、同友会側は強く主張した。金融当局の姿勢が変わっても、銀行側が変わっているとは思えなかったからだが、この点については海邦銀行側が当然ながら了解した。
もう一つ、提携ローンの交渉過程で課題となったのは金利だった。海邦銀行側は3%を主張したのに対し、同友会側は「高い」と反発し、なかなか折り合いがつかなかった。
同友会に持ち帰って討議したところ、元銀行員で経営コンサルタント・宮沢財務管理オフィス代表の宮沢賢氏が、「場合によってはサラ金や街金に駆け込もうという会員さえいる。スタートアップしたばかりの企業などが生きていくにはお金という血液が必要。無担保で貸してくれるというなら、3%でも高くはない。必要とする経営者はたくさんいる。絶対のむべきだ」と強く主張したのだという。賛同する声は少なくなく、結局、金利3%は受け入れられることになった。
こうした経緯を経て、提携ローン商品を含めた包括連携は成立した。その後、同友会側の勉強会に海邦銀行の支店長や行員が参加したり、海邦銀行主催のセミナーなどに同友会会員が出席したりと、交流は活発化しているという。提携ローンのほうも動き出し、これまで会員から、30件の申し込みがあり、融資を受けられることになったという。返済が焦げ付かないように、同友会も経営アドバイスなどの支援をしている。読谷村地区では提携ローンにより同友会会員が融資を受けられたとの情報が伝わり、希望者が一気に6人に達したという話もある。
こうして見ると、沖縄同友会と海邦銀行の包括連携は着実に進展しつつあるようだ。もっとも同じ海邦銀行でも支店長の体質、考え方により、取り組みがばらばらではあるようだ。しかし海邦銀行の動きに促されるように、琉球銀行など他金融機関との連携協定も動き出している。