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マーケットは新冷戦・インフレ期入りを示唆?

[図表2]は過去の地政学イベントのリストを示しました。
 

[図表2]おもな地政学イベントとダウ工業平均株価の騰落率(1950~1979年)
[図表2]おもな地政学イベントとダウ工業平均株価の騰落率(1950~1979年)

 

[図表3]おもな地政学イベントとダウ工業平均株価の騰落率(1980~2022年)
[図表3]おもな地政学イベントとダウ工業平均株価の騰落率(1980~2022年)


2つの表で合計13×2=26ありますが、[図表3]の「ベルリンの壁崩壊」(→ポジティブなイベント)と一番下の「今回」を除くと、サンプル数は24となります。

 

その24の地政学イベントすべてについて、「発生前30営業日と発生後100営業日のダウ工業平均株価の動き」を取ったものが[図表4]です。発生1営業日前を「0日」、発生1営業日前の株価を「100」としています。

 

[図表4]おもな地政学イベント発生前後のダウ工業平均株価
[図表4]おもな地政学イベント発生前後のダウ工業平均株価

 

【灰色のライン】は、冷戦期・インフレ期(1990年の湾岸戦争まで)の株価の動きです。株式市場が大きく動き、大幅に下がる機会もみられます。

 

他方の【水色のライン】は、冷戦終了後・低インフレ期(2001年の米同時多発テロ)以降の株価の動きです。【灰色】の冷戦期・インフレ期と比べると、あまり下がらないことがわかります。

 

そして、【オレンジのライン】が、今回で、昨年11月10日*を起点にとったものです。今回が【灰色】と【水色】のどちらのサンプルに入るかを考えると、株価の下落幅が大きいため、【灰色】の冷戦・インフレ期に属するようにみえます。

(*昨年11月10日に、ブリンケン米国務長官は、ウクライナ国境付近のロシア軍集結を公表し、懸念を表明しました。[図表5]のとおり、ロシア株式はそのころから下落が始まっています)

 

[図表5]MSCIロシア株式(現地通貨建て)
[図表5]MSCIロシア株式(現地通貨建て)

新冷戦・インフレ期入りならば、銘柄選択が重要に

そして、[図表6]は、[図表5]でみた24のイベントの平均を取ったものです。

 

[図表6]おもな地政学イベント発生前後のダウ工業平均株価の平均値
[図表6]おもな地政学イベント発生前後のダウ工業平均株価の平均値

 

【緑色のライン】は、24のイベントすべての、株価の動きの平均を取ったものです。イベント発生から「30営業日後」にプラス圏に戻っています。

 

【灰色のライン】は、冷戦期・インフレ期(1990年の湾岸戦争まで)の、株価の動きの平均を取ったものです。イベント発生から33営業日後にプラス圏に戻りますが、100営業日ほど経つとほぼフラットになっています(→もちろん、その要因が地政学イベントによるものとは限りません)。

 

【青色のライン】は、冷戦終了後・低インフレ期(2001年の米同時多発テロ)以降の、株価の動きの平均を取ったものです。株価はイベント発生から間もなく立ち直り、株価は上昇軌道を描いています。

 

冷戦終了後は、①地政学イベントの存在感が幾分薄れ、市場に対する影響度も小さくなり、➁低インフレ下で、中央銀行がマーケット・フレンドリーであることが、株価の回復の早さに影響しているかもしれません。

 

今回の動きとして、【灰色】の冷戦期・インフレ期を参考にすると、イベント発生から100営業日が経つ頃には、株価はほぼフラットですから、「今年は(直観のとおり)株価がもみ合いとなり、銘柄選択が重要になる」といえるかもしれません。

 

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