2021年10~12月期法人企業統計・設備投資などについて (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+5.5%、3.3ポイント増加率高まる

 

GDP第2次速報値で設備投資が上方修正、公共投資が下方修正要因か

 

 

21年10~12月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+5.5%と、7~9月期の前年同期比+2.2%から3.3ポイント伸び率が高まり、3四半期連続の増加になった。7~9月期で前年同期比+1.3%の増加だった製造業は、10~12月期では同+7.5%の増加へと6.2ポイント改善した。非製造業は7~9月期で前年同期比+2.7%の増加だったが、10~12月期で同+4.4%の増加と 1.7ポイント伸び率が改善した。

 

10~12月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+2.7%と2四半期ぶりの増加になった。製造業は+3.8%と2四半期ぶりの増加になった。非製造業は+2.2%と2四半期ぶりの増加になった。

 

なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は10~12月期で+3.4%と2四半期ぶりの増加になった。製造業は+3.4%と2四半期ぶりの増加に、非製造業が+3.3%と2四半期ぶりの増加になった。

 

法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で10~12月期の全産業の前年同期比は+4.3%で7~9月期の+1.2%と比べ3.1ポイント伸び率が改善した。資本金別の内訳をみるとまちまちで、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は▲6.8%の減少と、7~9月期の▲1.6%の減少から5.2ポイント悪化した。一方、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+29.1%の増加と、7~9月期の+1.3%の増加から27.8ポイント改善した。また、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+12.8%と、7~9月期の前年同期比+7.5%からは増加率が5.3ポイント改善した。

 

供給サイドのデータに基づいて算出した10~12月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+2.9%と3四半期連続の増加になった。7~9月期の+3.0%の増加から0.1ポイントと僅かに鈍化した。一方、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は7~9月期から10~12月期にかけ3.3ポイント改善した。両者の変化幅の乖離は3.4ポイントだ。

 

10~12月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、10~12月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+5.4%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+2.3%であると公表されているが、10~12月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+5.2%となり、仮置き値より2.9ポイント大きい増加率になった。

 

10~12月期GDP第2次速報値の設備投資では、法人企業統計が上方修正要因になるが、断層補正が抑制要因となるとみられる。また、ソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動態統計12月分確報値からみて僅かに下方修正要因になるとみた。季節調整替えの影響はあるものの、総合的に判断し、第2次速報値の名目設備投資は前期比+1.6%程度と、第1次速報値の同+1.0%から上方修正され、第2次速報値の実質設備投資は前期比+1.0%程度と、第1次速報値の同+0.4%から上方修正されるとみた。

民間在庫変動

法人企業統計の仕掛品在庫をみると21年10~12月期は3兆1,237億円で20年10~12月期の3兆2,957億円から▲1,719億円の減少となった。また、原材料・貯蔵品在庫は21年10~12月期は1兆1,331億円で20年10~12月期の▲200億円から+1兆1,531億円の増加となった。合わせて+9,812億円、前年同期に比べ増加した。

 

一方、21年10~12月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は7,836億円で20年10~12月期の7,617億円からは+219億円の増加であった。21年10~12月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は0.0%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなマイナス寄与は流通在庫、次のマイナス寄与は原材料在庫、そして仕掛品在庫がプラス寄与で、一番大きなプラス寄与は製品在庫ということだ。

 

今回の法人企業統計からみると、原材料在庫はプラス寄与に転じる可能性があろう。GDP第2次速報値で、今回の法人企業統計はGDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の0.0%と同じ0.0%程度になりそうだ。

21年10~12月期GDP・第2次速報値予測

3月9日に発表される21年10~12月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動などを中心に改定される。

 

21年10~12月期GDP第2次速報値では、法人企業統計から判断し、実質設備投資は前期比+1.0%程度と、第1次速報値の同+0.4%から上方修正になると予測した。一方、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は第1次速報値の▲0.1%と同じ▲0.1%になるとみた。

 

また、公共工事出来高の前年比は10~11月分平均が▲8.9%だったが、10~12月期の前年同期比は▲10.4%と減少率が拡大した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は▲4.0%程度の減少と第1次速報値の▲3.3%から減少率が拡大すると予測する。

 

21年10~12月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+1.4%程度、前期比年率+5.7%程度を予測する。第1次速報値の前期比+1.3%程度、前期比年率+5.4%から若干上方修正となろう。設備投資が上方修正要因に、公共投資が下方修正要因になるとみた。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年10~12月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2022年3月2日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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