「頭を抱えています…」資産10億円でも“安心できない”都内23区不動産所有者の切実な事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

不動産価格の上昇やコロナ禍での様々な影響に、多くの収益不動産オーナーが頭を抱えています。ここでは収益不動産を守るために意識したい「走攻守」について、株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏が解説していきます。

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不動産オーナー、“資産10億円”でも「困っている」ワケ

私は仕事柄、収益不動産の所有者、特に地主さんなど、マンション・ビルなどを一棟保有されている方とよくお話します。

 

彼らの中で、特に都内23区に不動産を保有される方が口を揃えるのが「ここ10年くらいで不動産の価格が上がってしまって困っている」ということです。

 

所有する不動産の価格が上がってなぜ「困る」のでしょうか? これは地主特有の悩みです。

 

都内城西地域を中心にマンション1棟と複数の駐車場を所有するAさん(60代)。彼は私に切実な物言いで訴えました。

 

「土地の価格が5年で5割上がったところで、賃料には転嫁できません。税金が取られる理由になるだけで。じゃあ売れば……となるところだけど、売れないですよね、先祖の土地だから。このままの状況だと相続税で現在の不動産が半分になってしまいます。どうしたものか……」

 

まさにこの問題に、多くの不動産所有者が頭を抱えています。

 

日本の不動産は賃借人の権利が強いことに加え、長らくデフレが続いているため、賃料を上げることは至難の業でしょう。

 

そしてAさんの保有資産は約10億円。

 

「え、資産10億円? かなりお金持ちじゃん。なんの苦労もせずに10億円もってるなら幸せでしょ」という声が聞こえてきそうですが、さにあらず。

 

不動産オーナーあるあるなのですが、こういった地主型の資産家の場合、現預金の保有割合は不動産と現金で9:1の比率になっている方が多いのです。Aさんの保有している現金も1億円です。

 

「それでも多い!」という声が聞こえてきそうですが、1億円という額は「相続税」で簡単に消えてしまいます。

 

Aさんの10年前の総資産は、不動産が値上がりする前だったため約6億円でした。

 

配偶者・子供1人の3人家族であるため、Aさんが亡くなった場合(1次相続)と、Aさんの妻が亡くなった場合(2次相続)の相続税は、合計して2億円強の予定でした。

 

しかしこの10年で不動産価格が50%上昇したため、現在計算すると、1次相続・2次相続の合計で4億円強となってしまっています。

 

不動産価格が50%上がったために、相続税が2倍になったのです。そのうえ先述の通り賃料があげられず、ジレンマに陥っています。

 

さらに土地部分に関しては、地価の上昇により、毎年払う固定資産税まで上昇しています。まさに「土地は3代相続したら無くなる」を地で行く状況です。

 

地価の上昇は地主にとってはメリットがなく、むしろデメリットだらけなのです。収益不動産の走攻守における「走」の部分がポロポロ落ちていきます。収益不動産の所有者にとって、税金問題が第一の難問といえます。

株式会社アレース・ファミリーオフィス 代表取締役
一般社団法人相続終活専門協会 理事 

大学卒業後、住友生命保険に入社。その後、英スタンダードチャータード銀行にて最年少シニアマネージャーとして活躍。2009年、経営者層の税務・法務・ 財務管理・資産運用を行う「アレース・ファミリーオフィス」を設立。以降、4000件以上の相続案件を手がけた「相続のプロ」。数多くの相続争い(争族) を経験するなかで、争族を避けるノウハウを確立。そうした知見を幅広く認知してもらう目的で「一般社団法人相続終活専門協会」を設立し、代表理事に就任。

著書『プロが教える 相続でモメないための本』(アスコム刊)などがある。

遺言相続.com(https://egonsouzoku.com/)

著者紹介

連載コロナが生み出すインフレ、損をする前に

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