「元本が10分の1に…」資産運用で大損する富裕層続出
金融庁の方針もあり、ここ日本でもいよいよ金融リテラシーについて底上げの時代が到来しそうです。
というのは、2022年は2月のロシアのウクライナ侵攻やインフレ退治のための0.75%の高速利上げと、マーケットが揺れに揺れています。資源や原油高に関しても乱高下を繰り返しており、富裕層の資産運用にも大きな変化が起きています。
一方で、リテラシーがそれほど高くない富裕層は証券会社で運用している場合、仕組債で大きく損をしている方も多いので、直近で何が起きているのかお伝えしたいと思います。
証券会社で運用していて投資のベテランではない富裕層の一定数は、仕組債という債券に投資している場合、続々と大打撃を受けています。ノックインしたり、元本が10分の1程度となって大損をしてしまった方も続出しています。
『仕組債』『ノックイン』『元本が10分の1』など『よくわからない』話だと思いますのでご説明していきましょう。
仕組債とはデリバティブを内包した債券です。債券というと「低リスク低リターン」といった安全なイメージですが、これは真逆です。高リスクミドルリターンの投資家側に分が悪い金融商品なのです。
たとえば、多くの仕組債が、テスラやエヌビディアなど一般的に「ハイパーグロース」と言われナスダック市場に上場するような米株を組み入れており、これらの株が運用期間中(大体1~5年)にある一定レベルまで株価が下落しなければ『クーポンという利息が10-40%程度』支払われることになります。「40%なんて高利息!」と言えそうですが、それに見合ったリスクはあるので注意です。
具体的に2022年初頭によくあった仕組債をみていきましょう。
[図表]をご覧ください。
これは対象資産として、テスラ、AMD(半導体の会社)、JPモルガン(米金融大手)を組み入れています。通貨はドル建てで、運用期間は最長1年の債券です。
1ヵ月に1度、指定の日に3つの会社の株価をチェックします。それが100%、つまり債権の始期日よりも上昇していたら早期償還となり、1ヵ月という超短期で債券は満期となります。ちなみに利息は40%の12分の1である3.33%のクーポンと元本が返還されるわけです。