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長期金利2.4%くらいまでなら株価横ばいか
ただ、その一方で米国経済や企業業績は現時点では堅調で、予想EPS(赤線)が切りあがっていくことも見込まれている[前掲図表2]。そのため、2022年末までに長期金利が上昇しても2.4%以下に収まるなら、米国株式は現在の水準を維持できる可能性が高いと思われる。
実際に長期金利2.4%を前章の式に当てはめると、予想PERは14.5倍から18.5倍が許容される範囲となる。そこにS&P500種株価指数の足元の来期2023年予想EPS:243ポイントを掛けると、だいたい3,500ポイントから4,500ポイント(面グラフ)となる[図表4]。
つまり、長期金利の上昇が緩やかで年末に2.4%くらいであれば、足元の株価の水準を維持できる可能性が高い。
さらにS&P500種株価指数が年末に向けて年初の株価水準4,800ポイントに迫るには、長期金利の上昇がより緩やかで年末に2.1%以下に収まる必要がある。長期金利は既に2%を超えてきていることを踏まえると、年末までに2.1%以下に収まる可能性は極めて低い。
ゆえに、2022年中に年初の水準に戻って終えるのは難しいと思われる。逆に長期金利の上昇が急で年末に2.7%を上回ると、S&P500種株価指数は4,300ポイントを割れ、2022年1月のFOMC直後につけた年初来安値を下回ることが示唆される。
なお、この試算はあくまでも足元の業績見通し、来期予想を元に試算しており、これから米国企業の業績見通しが上方修正されたら株価の上値が切りあがり、逆に下方修正されれば切り下がることになる。また便宜上、金融政策、長期金利と企業業績を切り離して試算しているが、本来は密接に関係する。
特に金融引き締めに伴う景気の減速、いわゆるオーバーキルが警戒されており、急激な金利上昇を契機に想定以上の株価下落を誘発する可能性があるため、金利の動向には注意が必要である。
最後に
いずれにしても、米国株式は2022年を通して金融政策の動向に左右される可能性が高い。2022年3月のFOMCの利上げ幅、または3月以降に行われる利上げ回数、さらにはバランスシート縮小の時期やそのペースなどに注目されている。ぜひ、本稿で紹介した長期金利と予想PER、さらには株価の関係、水準感を頭の片隅に置いた上で今後の動向を追っていただけたら幸いである。
前山 裕亮
ニッセイ基礎研究所
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