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まずは毎日の時間の使い方を子どもと一緒に洗い出そう
遊んでいるわけではないのに「時間が足りない」と繰り返す子どもや、机に座る時間と成果が伴っていない子どもの抱えている問題は、タイムマネジメントができていないことにつきます。タイムマネジメントの第一歩は、自分が一日どう過ごしたかを知ることです。
「今日1日をどのように過ごしたのか」を【図表】のバーチカルカレンダーのように書き出してみましょう。起床から、就寝までをどう過ごしたかを15分単位で具体的に書き出します。
30分単位では、ざっくりとしすぎであり、5分単位だと細か過ぎます。ひと仕事可能な15分単位が適切でしょう。こうして、子どもの可処分時間(子どもが自分で決めることのできる時間)を割り出すことができます。
可処分時間=24時間−睡眠時間−学校(通学時間を含む)−課外活動時間−生活時間
可処分時間のうちの30〜40%(中1〜高1)、50%(高2)、70%(高3)が無理のない学習時間です。多くの場合、平日なら可処分時間は6~7時間、休みの日は10~14時間程度です。実際の勉強時間は、多い人で4時間程度です。この時間内で勉強が収まらない場合は、勉強方法を改善したり、生活時間を見直す工夫が必要です。なお、睡眠時間を削っての勉強は効率が悪いだけでなく、成長期の子どもにとってはマイナスの影響しか与えません。
⇒可処分時間から勉強時間の目安を決める
⇒睡眠負債は脳の働きに悪影響
アナログ時計、デジタル時計を使い分ける
■アナログ時計のメリット
アナログ時計は円グラフと同じで、直感的に時間の経過・次の行動に移るまでの時間が分かることです。時間の経過を可視化することで、学習のペース配分やタイムリミットを意識した学習が可能です。「あと何分で終わらせるために、勉強のピッチを上げよう」など、自分自身で意欲を高めたり行動を早めたりしようとする心理が働きます。
また次の行動までの時間を知ることは、細切れの時間を活かすことにつながります。3分あるから机の片付けをしよう、5分あるのでプリントの整理をしようなど、細切れの時間を有効に活用できます。
⇒直感的に「現在時刻」「経過した時間」「残りの時間」が分かる
⇒自分自身で意欲を高めたり行動を早めたりしようとする心理が働く
■デジタル時計・キッチンタイマー
デジタル時計のメリットは、その正確さに加えて時間が数字で表示されるため見間違いが少なく、時間が読み取りやすい点にあります。時間を計って行う学習にはストップウォッチの機能が必要です。その意味では、キッチンタイマーが学習には向いています。
⇒時間を計ってする
1分・3分・5分・15分…隙間時間でできる勉強を用意
「電車が来るまでの時間」「楽しみにしているドラマが始まるまでの時間」「食事を注文してから出てくるまでの時間」「風呂から出てボーっとしている時間」。1日の中には、何度も細切れの時間(=隙間時間)が出てきます。この隙間時間の使い方の巧拙が、学習の成果に大きな影響を与えることになります。クラブ活動や生徒会活動で忙しいにもかかわらず勉強で結果を出している人は、細切れの時間を有効活用しているのです。
この隙間時間を有効に活用するために勉強内容を1分でできる内容、3分でできる内容、5分でできる内容、15分でできる内容に整理してあらかじめ用意しておきましょう。空いた時間が1分なら単語カードを見る、3分なら英語の長文(500語程度)に目を通す、10分なら教科書を読み返す、15分ならリスニングアプリを開く、といった具合です。細切れの時間だからこそ集中力も出てきます。
⇒隙間時間を活用する
友達がいない車両に乗って学校・塾に行く
脳はその特性として「最初」と「最後」を強く記憶します。この特性を活かすには、「最初」と「最後」をたくさんつくることです。何度も訪れる隙間時間は、脳の特性を活かす無理のない学習です。子どもたちに「電車は友達がいない車両に乗りなさい」「学校や塾は一人で行って一人で帰りなさい」というのは、隙間時間を生み出す工夫でもあります。
進捗にやりがいを感じられる自己演出も有効です。「プリントを5枚見直す」と決めたなら、その5枚を全部机の上に出し、右側に積み重ねます。1冊にかけられる時間は6分弱です。タイムリミットを意識しながら終わるたびに、プリントを左側に積んでいきます。
達成度を視覚化することで集中力を高め、やりがいを感じながら勉強に取り組むことができます。また、達成するたびに、心の中で「よし」と叫んだり、こぶしを握って小さくガッツポーズをしてください。気分が乗ってきます。
⇒意図的に一人の時間をつくる
⇒「よし」「ガッツポーズ」で達成感を味わう
乾 俊和
株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長
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