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「暗記力のない子ども」などいない
私は「この子は記憶力がないなあ」と思った経験がありません。
英単語や社会の重要項目など、暗記ものを苦手に感じている子はたくさんいます。でもそれは誤解です。覚え方あるいは覚えさせ方を工夫すれば、どんな子どもでも受験に必要な暗記力アップは十分期待できるからです。例えば、1ヵ月で単語・熟語を覚えた人をどう思いますか。「すごい記憶力だなあ」「自分にはできない」と思うのではないでしょうか。
以下の方法を用いれば、高2生であればほぼ完璧(客観テストで90%以上)に覚えることができます。しかも1ヵ月程度の時間で可能です。単語にかける時間は、授業で80分×4回~6回=320~480分。毎日、30分×40日程度です。合計しても30時間もかかりません。週末の1時間を加えても40時間もあれば暗記することは可能であり、実際指導している生徒は覚えています。
英単語・熟語4500語を1ヵ月で完璧に覚えられる方法
私は子どもに、桐原書店から出ている単語集『DataBase4500』を1ヵ月で覚える方法を指導しています。
長期休暇を利用して80分×4回~6回の授業で覚えてもらっています。中には、1週間で覚えた生徒もいます。この場合の覚えているとは、客観テストで90%以上を基準としています。
①高速なぞり学習で、目になじませる
最初にDataBase4500に記載されている単語を載せたプリントを配布します。このプリントを少し早めの速度で、指を使ってなぞるよう指示します。その際、目は指のスピードに合わせて動かします。目に合わせて指を動かすのではないことに注意してください。目標は意味を覚えるのではなく、一定の時間内で最後までなぞり終えることです。何度か繰り返した後で、最初から最後までを3分でなぞれるまで繰り返します。3分を切れば第一段階は完了です。
②隙間時間を活用して、1日9回なぞる
3分でなぞれるようになれば、隙間時間を用いて朝・昼・寝る前の3回をこのなぞり作業を3回繰り返させます。意味が分かるもの、分からないもの、見たことがある気がするもの、まったく覚えがないものなど単語があっても気にしません。「視覚的に慣れる」ことが最優先です。
③知らない単語を選び出す
その単語プリントから、すでに知っている単語か、知らない単語かを識別させます。知らない単語には、蛍光ペンで色を付けます。
④カタカナ語はその場で覚える
カタカナ語や覚えやすい単語をその場で覚えます。すでに知っている知識と単語を結び付けていきます。stretchは「ストレッチ」、theme「テーマ」であると気づけば覚えやすいですね。この意味では発音記号の横にカタカナで発音が書いてある単語集はお勧めです。もちろん正しい発音も同時に確認しておきます。
⑤正念場 接頭辞や語源を用いて、個々の単語を撃破
discipline「訓練(する)」「しつけ(る)」は、sciが「知」を表す知識があれば、記憶することは難しくありません。「人に教える」⇒「訓練する」「子どもに教える」⇒「しつける」、同時に、同系語であるscience「科学」、conscious「意識的な」「気づいている」も覚えます。また接尾辞のルールを知ればcomfortableはcomfort+able(形容詞を作る語尾)から成り立っていると分かります。comfortableはいつでも思い出せる単語です。覚える必要は特にありません。
⑥ゲームの要素を入れて、記憶を強化する
「語尾にousがある単語を5分でどれくらい探せるかな」と単語探しゲームをします。いろんな語尾での単語探しゲームが終わったら、今度は接頭辞(単語の頭の部分)、単語の中間の綴りが同じものなど、いろいろとテーマを変えて何度もやります。こうしてゲームを通じて、プリントの単語は何十回と目にすることになります。
⑦単語カードを利用する
どうしても覚えられない単語は、単語カードに書き、隙間時間に何度も見るようにします。
⑧パラパラ学習
ここからは単語集を用います。常に持ち歩いて、暇があれば何度もページを繰ります。その際は、例文を読む必要はありません。単語を見て、一瞬で意味を思い出す訓練を積み重ねます。
⑨テストの繰り返し
頭に入った知識を定着させるためには、テスト効果を利用します。全範囲を何度もテストします。テストごとに間違った単語の意味を覚えます。さらに間違った単語は単語カードに書かせます。以前書いたものでも、再度間違えれば単語カードに書かせます。これにより何度も目に触れることとなり、思い起こす機会が増えて、記憶に残りやすくなります。
⑩月1回程度を目安にメンテナンス
毎月単語テストを繰り返します。以前使ったものでOKです。もちろん、単語カードで一度確認してからテストに臨んでください。この場合もタイマーを使って時間を計ってください。先月よりも短時間で終えるまで何種類もテストしましょう。英単語を例に説明しましたが「全体に慣れ親しみ、そのあとで細部に入っていく」という考え方は、どの科目にも応用できると思います。
乾 俊和
株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長
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