(※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸物件オーナーは、入居者が入れ替わる際にまず「ハウスクリーニング」を手配しますが、前入居者の使用状況や今後の運営方針などによって「どこまで徹底的に行うか」は非常に悩むところです。今回は、ハウスクリーニングのコストダウンの方法について解説します。

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    賃貸物件オーナー「できるだけ安くすませたいが…」

     

    賃貸住宅向けハウスクリーニングの基本メニューには、以下のようなものがあります。

     

    ★床(フローリング、畳、カーペットなど)

    ★窓ガラス、サッシ(サッシのパッキン部分にこびり付いたカビ除去も含む)

    ★キッチン、バスルーム、トイレなどの水回り(換気扇など周辺設備も含む)

    ★収納(押入れ、クロゼットなど居室収納ほか、水回りや玄関先の収納も含む)

    ★照明器具(ダウンライトなど、壁面や天井に建て付けの照明を中心に清掃)

    ★エアコン(外装、および内部清掃も含む)

    ★バルコニー(床タイル部分や手すりの清掃)

     

    清掃箇所を「水回りだけ」「床だけ」など部分的に依頼することも可能です。前入居者が短期間で退去したなど汚れが少ない場合はそれでもOKですが、部分クリーニングの料金はそれほど安くないという点には注意が必要です。

     

    たとえば、ワンルーム(20m2程度)の全体クリーニング料金が1.4万円~2.5万円なのに対し、キッチンクリーニングのみの料金は1万円~1.6万円、トイレクリーニングのみの料金は7,000円~1万円。そう考えると、かなり割高になってしまいます。

     

    では、どこでコストダウンを図ればよいのでしょうか。

     

    ■繁忙期を避ける

    ハウスクリーニング業者の繁忙期は賃貸住宅の引越シーズンと時期が重なります。そのため、12月から翌年4月までは定額料金制で値下げ交渉に応じてくれません。一方、5月以降は閑散期に入るため、料金割引セールをはじめる業者が出てくるうえ、値下げ交渉も通りやすくなります。

     

    ■クリーニング費用の安い建具を選ぶ

    また、建具の種類によってもクリーニング料金は変わります。たとえば床材が畳の場合、表替え・裏返し料金は3畳が1万5,000円~で、ワンルーム(12畳換算)なら6万円程度かかります。カーペットは50m2が3万円~で、20m2程度のワンルームでもこれが最小発注単価と考えたほうがいいでしょう。フローリングは20m2が2万円~で、畳やカーペットと比較して最も安く上がります。

    落ち度のない入居者からは、原状回復費は取れない?

     

    国土交通省では、賃貸オーナー・入居者間のトラブルを未然に防ぐため「賃貸住宅の入居・退去に係る留意点」についてホームページ上でアナウンスしています。そこから、賃貸借契約時に賃貸人(オーナー)と賃借人(入居者)とがお互いに確認すべき基本項目を抜き出してみました。

     

    ■入居時および更新時に必要な費用

    賃貸住宅に入居する際、入居者は敷金・礼金・保証金等の費用を支払うことになります。加えて更新時には更新料が必要な場合があります。

     

    ■退去や解約時の手続き

    入居者が賃貸住宅を退去する際は、解約申し入れ時期や条件について一定の手続きをおこなう必要があります。

     

    ■原状回復の範囲

    退去時における原状回復義務について、どのような項目が賃借人の負担になるのかについて、賃貸人または契約を取り仕切る宅地建物取引士(不動産仲介業者)に確認しておく必要があります。

     

    上記の3項目は基本項目であると同時に、オーナー・入居者間でトラブルが起こりやすい“要注意ポイント”でもあります。そしてこのなかで最もトラブルが多いのは「原状回復」に関するものです。

     

    国土交通省が原状回復の費用負担のあり方についてまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」と定義されています。

     

    要するに、入居者が「意図的に、またはミスをして壊した(汚した)部分」、または「本来的な使用方法と異なる使い方をしたために壊れて(汚れて)しまった部分」のみ入居者に原状回復義務がある、すなわち入居者の費用負担になるということです。

     

    そうなると、なんの落ち度もなく暮らしていた入居者は、ハウスクリーニングを含めた一切の原状回復負担を免れることになります。では、オーナーはあきらめるしかないのでしょうか? 大丈夫です。オーナー側にも打つ手はあります。

     

    それは、賃貸借契約書にある賃貸借物件の明渡し条項に「退去時のハウスクリーニング費用は賃借人の負担とする」旨を、具体的な金額とともに盛り込んでおくことです。そうすれば、オーナーは入居者に対し堂々とハウスクリーニング費用を請求することができます。

     

     

    次ページ物件の運用方法ごとに、クリーニング内容を使い分け

    ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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