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地域の「魅力」を見つけ、客観的な評価・提案を行う

ビジネスマンのデュアルライフ（二拠点居住）志向や企業のサテライトオフィス化（本社機能の地方移転）が加速しているといわれるものの、「都心一極集中」の状況はまだまだ変わりません。地方都市における「空き家・空き地問題」の根源となっている人口減少は深刻化の一途を辿っています。

とくに若者層の流出が顕著で、働き手は中高年ばかり、経営者も高齢で、跡取りの充てもありません。このような状況で必要な労働力が確保できず、多くの老舗企業が廃業に追い込まれています。

人口減少による地方都市の空洞化を改善するためには、アイディアを絞り出して地域の魅力を向上させていくしかありません。都会の真似事ではなく、その地域ならではの特性を見つけ出し、若い人たちに対してアピールしていく必要があります。

しかし、長くその地に暮らしていると地域の魅力になかなか気づくことができません。地元住民だけでは魅力発見が難しいということであれば、外部からオブザーバーを招いて客観的な評価・提案を受けるという手があります。その役割を担うのが「タウンマネージャー」なのです。

タウンマネージャーの主要業務

●対象地域（商店街）の特徴付けと、空き店舗の入居テナント誘致

●空き地を活用した駐車場、ポケットパークなどの整備

●地域内の美化、商店街イベント・共通カードなどの関連事業展開　他

タウンマネージャーは、商店街におけるバランスの良い業種構成を考えながらテナントを募集し、入居後もテナントに対し集客手段や商品展開のアドバイスも行いながら商店街全体を運営・管理（タウンマネジメント）していきます。

加えて、市街地衰退の大きな原因である空き家・空き土地の活用手段も考えていきます。タウンマネージャーはまさに“街の総合プロデューサー”なのです。

タウンマネージャーは、アメリカ・ダウンタウン地区の衰退・空洞化を改善した事例で注目されはじめました。

この事例では、都市部（＝ダウンタウン）の商店街から郊外ショッピングセンターへの消費者流出が問題となっていました。当初は「街の衰退は老朽化した建物を建て替えれば改善できる」として物的改良策が取られていましたが、店舗を新築しても消費者は戻ってきませんでした。

そこでタウンマネージャーは、専門店が個別に林立するダウンタウンを一つのショッピングセンターとして統一的にマネジメントする手段を提案し、それを実践したところ、消費者を引き戻すことに成功したのです。

タウンマネージャーの資格要件は？

タウンマネージャーは資格制度ではありません。自らの本業を通して地域の活性化に取り組んでいる人すべてがタウンマネージャーとなりうるのです。

たとえば、商店街の複数店舗からコンサルティング業務を受けている中小企業診断士、新たな街づくりを請け負う建築士や技術士、街の資産価値を評価する不動産鑑定士や宅建取引士など、地域にかかわるさまざまなジャンルの専門家がタウンマネージャーとして活躍しています。

タウンマネージャーの人材募集は各自治体から不定期に行われています。まずは自治体がタウンマネジメント研修会を開き、その後研修受講者を対象に応募要項が配布されます。

応募条件には地域活性化に興味があることのほか、自治体に居住中、または移住を考えていることなども盛り込まれます。採用後の年収は300～600万円程度で、勤務体系（出勤日数など）は自治体により異なります。