(※画像はイメージです/PIXTA)

企業として「グループホームを建てて運営事業者に貸す」ビジネスを展開するうち、蓄積したノウハウを活用して施設運営の当事者へと方向転換したある企業の取り組みから、障がい者福祉施設の開設実現までのノウハウと、現場で展開された実際の交渉を見ていきます。今回は、建設予定地の地域住民への説明会を終了し、いよいよ着工をスタートし、実際の運営にかかわる主要部分についてしっかりと詰めていきます。

入居者募集開始…「施設の新設は助かる」との声

食費が決まったので、ようやく入居者さんの募集の基礎ができました。

 

募集要項に、入居費用の内訳として家賃・水道光熱費・食費がいくらかかるのかを明記しなければなりません。そこで水道料金を調べたり、日用品費が一人あたりいくらくらいになるのかを試算したりすることが必要になります。

 

紙のチラシのほかに、インターネット上での募集を行うためのホームページづくりもあわせて行います。

 

2021年8月以降、以前から作っていた入居募集のパンフレットとチラシを持って、関係各所を回っています。

 

行った先は以下のとおりです。

 

相談支援事業所:障がいのある人がサービスを受けるときに最初に訪れるところです。

特別支援学校:地域にある特別支援学校を一通り回りました。

病院:会うのはソーシャルワーカーです。

 

いずれも好感触でした。よく言われたのが「グループホームは足りていないので、こういう施設が新しくできるのはとても助かります」ということです。いま、別のホームに入居しているけれども合わなくて困っている人が、少なからずいるという実態も分かりました。

 

ただ、現在、コロナの影響で自宅で静かに過ごす人が多いそうなので、入居が次々と決まるのはある程度コロナが落ちついてからになりそうです。

「福祉に強い社会保険労務士」の力を求む!

思いのほか大変なのが就業規則づくりです。

 

特に賃金規定については戸惑いの連続でした。

 

もともと福祉事業をやっている会社であれば、その就業規則を流用できる部分もあると思いますが、私たちは建設会社です。そうなると賃金規定そのものが違ってきます。

 

グループホームは365日24時間稼働の施設だということもあり、給与ベースや資格手当はもちろん、退職金制度なども異なります。

 

処遇改善加算を取るためには賃金規定のなかに、働く人がステップアップできるようなキャリアパスを入れ込まなければなりません。

 

結局、障がい福祉に詳しい税理士法人と契約をしたのち、そこの社会保険労務士とも契約することになりました。

 

ただし、コスト面の問題があり、私がたたき台となる就業規則をつくり、社会保険労務士にチェックしてもらう形を取ることにしました。

 

厚生労働省のホームページに就業規則の雛型が解説とともに掲載されています。その解説や就業規則作成の参考図書を読みながらつくっています。

太陽光パネルの設置で「地球環境への配慮」も

2021年9月19日現在、建物のほうは完成に近づいており、手すりやコンセントの位置を決めたり、備品としての家具や家電の精査をしたりしています。

 

屋根に太陽光パネルを載せることにしたので、前月くらいまではその打ち合わせに時間を割きました。

 

今回、一つの敷地にA棟とB棟の2棟を建てることになるので、別々に電気を引き込まなければなりません。電気の契約も別々になるので、それぞれに引き込み口が必要になり、コストがかかってしまいます。

 

それ以前の問題として、一つの土地に建った2棟の建物に別々の太陽光パネルを載せること自体、申請が通らないのではないかと電気工事業者から声が上がりました。

 

そこでB棟にだけ太陽光パネルをつけて、B棟とA棟の電力をそれぞれまかなうような形にして、それでも余った電力は売電するという設計にしました。

 

太陽光パネルにかかる建設コストはおよそ320万円でした。7年くらいで回収できると予測しています。

 

 

岩崎 弥一
アルカスコーポレーション株式会社 代表取締役
南砺市商工会 副会長

 

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安定した収益&社会的意義を両立 福祉施設経営のススメ

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岩崎 弥一

幻冬舎メディアコンサルティング

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