(※画像はイメージです/PIXTA)

年間の心臓カテーテル数は約800件、最新の医療技術と設備器具を駆使して高度で安全な医療・救命救急治療を行う小規模の専門特化型病院である。24時間、夜中でも高度な医療レベルを保ち続け、患者の命をつないでいる所沢ハートセンターを紹介します。※本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房、2020年12月刊)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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    開業当初から救急治療を積極的に行ってきた

    所沢ハートセンターは、心臓血管治療に専門特化した病院である。病院の理念は、「地域の医療機関との協力・連携のもとに、昼夜を問わず24時間体制で、最新の医療技術と設備器具を駆使して、高度で安全な医療・救命救急治療を行い、患者の健康の役に立つ医療を提供すること」である。

     

    そのため、開業当初から救急治療を積極的に行い、狭心症や心筋梗塞、心不全、不整脈などを専門に治療している。主に心臓カテーテル治療を主体とし、最新の医療技術と医療機器を駆使して、高度で安全な治療に24時間体制で取り組む。現在では、心臓疾患の背景となる高血圧症、糖尿病、高脂血症のリスクファクターの管理も行う。

     

    これら心臓疾患に関わる病状の患者をトータルで診ることは、心イベント(心臓や血管に起こる病気)を防ぐことにつながるため、生活習慣病の予防も率先して治療する。その専門性の高さは、地域の診療所や患者からの信頼を得ており、近隣地域をはじめ遠方からも患者が集まる。

     

    ある時、北関東に住む女子高校生が診察のため所沢ハートセンターに訪れた。彼女は、地元の病院をいくつか受診したが診断がつかず、苦しさをわかってもらえないでいた。18歳の女性が胸がぎゅっと締め付けられるような痛みや圧迫感、息苦しさを感じた時、どれほど怖い思いをしたのだろうか。いくつもの病院で、病名はわからないと医師に言われた彼女の不安は計り知れない。

     

    彼女は専門病院でないとわかってもらえないと考え、自分で調べて100キロ以上離れた所沢ハートセンターに辿り着いた。彼女は狭心症だった。10代の狭心症は珍しいという。専門病院でないとわからない心臓疾患は多く、病気を見つけてくれた医師に対する患者の信頼は絶大であり、その信頼は一生続く。彼女は、今でも100キロ離れた所沢ハートセンターに通院している。

     

    専門特化型の優れた点について、桜田院長は、「医師だけではなく、医療スタッフ全体の専門性が高まることで疾患を見逃さず、すべての対応が素早く適切に行われることだ。」と話す。インタビューでは、桜田院長の落ち着いた物腰と穏やかな声の中にも、鋭さとスピードを感じる。

     

    本章では、30床の専門特化型病院だからこそ可能にする、専門性の高さと、24時間365日高い医療レベルを保ち続け、心臓血管治療に取り組む病院の理念と桜田院長の思い、そして病院の仕組みを探る。

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    ※本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房、2020年12月刊)の一部を抜粋し、再編集したものです。

    患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

    患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

    杉本 ゆかり

    千倉書房

    「患者インサイト」とは、患者が心の奥底で考えている本音であり、医療に関する意思決定である。この患者インサイトを明らかにすることで、患者への情報提供や情報収集など、患者との効果的なコミュニケーション理解できるよう…

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