「老人ホームには重篤な患者も」救命救急の看護師の重大な指摘 (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホームに親を入居させたからといって、親から解放されるということはありません。深夜に老人ホームから呼び出されることもあり、在宅の時と変わらない対応が求められます。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で解説します。

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高齢者医療にかかわっているのは高齢の医師

多くの家族が抱く素朴な疑問の中に、深夜にホームから呼び出されたという話があります。多くのケースは、事故や病気で医療機関で受診しなければならなくなったケースです。

 

そこには主治医の問題があります。これは、ホームに同情することはできますが、ホーム側の問題だと言えばその通りです。

 

残念ですが、今の医療界を見ていると、高齢者医療は片隅に追いやられています。仕方がないと言えば仕方がないということだと思います。寿命という死が近づいている人に対し、医療がどう頑張っても、今の医療では、どうすることもできません。そうであれば、違う立場の人の医療により力を入れるということは、ある意味、常識なのだと考えます。

 

したがって、多くの高齢者施設、高齢者医療にかかわっている医師は、現役を退ぞいた高齢の医師が多いはずです。興味があれば、近くの老健(老人保健施設)などを確認するとよくわかります。しかも、専門分野もまちまちなので、必ずしも、すべての入居者の症状をしっかりと診ることができるかどうかも心配になります。

 

勘違いのないように記しておきますが、この状態は違法ではありません。まったくの合法です。医師免許を持つ医師がいればよいのですから。

 

時代背景にもよりますが、私が介護現場にいた20年ぐらい前は、多くの老人ホームにかかわっていた医師の専門科目は、産婦人科が多かったと記憶しています。詳細はわかりませんが、産婦人科は24時間拘束され、おまけに訴訟も多い。少子化ということもあって、クリニックを廃業した先生が、高齢者医療にシフトしてきていたと記憶しています。

 

いずれにしても、高齢者という特殊な人を相手にしているにもかかわらず、高齢者医療の専門家ではない医師が診ているので、どうしてもジャッジが慎重になってしまいます。さらに、老人ホームの場合、勤務医がアルバイトでかかわっているケースも多いため、特に夜間帯では、日常的にまったくかかわっていない医師が、症状をカルテだけで判断するケースも多々あります。

 

当然、その場合も、ジャッジは慎重になるため、いつもより少しでもおかしければ「救急車を呼んで病院に行きなさい」という指示が出るだけです。私も介護職員だった時、数回経験がありますが、ひどい医師になると、急変時の状態を電話で伝えると「あなたはどう考えるのか?」と逆に質問を返され、「すぐに救急搬送をするべきです」と回答すると、「だったらそうしてください」。ガチャンと電話を切られたことがあります。そんなひどい医師もたくさんいました。これが現実です。

 

だから、家族が病院に駆けつけると治療は終わり「ホームに帰ってください」となるわけです。家族からすると、安堵と当時に、どうして? という気持ちが湧き出てきます。わからなくもない話ですが、介護職員を責めても仕方がない話です。

 

私が、介護現場にいた時のエピソードを記しておきます。急変した入居者を3次救急病院に搬送した時の話です。協力医療機関の医師の指示で救急搬送をすることになりました。

 

年齢が年齢だったため、受け入れ病院がなかなか決まらず、最後の手段として3次救急、つまり、大学病院の救命救急に搬送しました。しかし、残念ながら入居者は、搬送中の救急車の中で息を引き取りました。

 

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株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載失敗しない「老人ホーム選び」の鉄則

※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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