(※写真はイメージです/PIXTA)

2021年の東京オリンピック・パラリンピック閉幕以降も続く市街地整備事業の影響で、公道上の「不法占拠店舗」が一掃されようとしています。違法ではありながら存在を黙認され、長きにわたって人々に親しまれてきた商店街・屋台街には、観光資源として存続の声も上がるなど複雑です。歴史的背景とともに考察します。

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      浅草の商店会を相手取り、台東区が「立ち退き裁判」

       

      2021年12月、台東区が浅草・伝法院通りにある商店会を相手取り、裁判を起こしたというニュースが世間を騒がせました。これは、区が商店会側に対し「公道上での店舗営業は不法占拠に当たる」として立ち退きを求めたものです。

       

      伝法院通りは東京メトロ銀座線「浅草」駅から北へ徒歩5分ほどに位置し、浅草寺の本坊である伝法院の門前を通ることからこの名が付いたといわれます。通り沿いには複数の商店会がありますが、今回訴えられたのはその中のひとつ「浅草伝法院通り商栄会」です。

       

      刀剣、下駄、和紙絵など江戸風情溢れる32店舗の土産店が整然と建ち並び、いずれの店舗も鉄筋造など堅牢に造られているのですが、それらが建っているのは台東区が所有・管理する「公道」の上なのです。商店会は1970年代、戦争直後に建てられたバラック店舗の取り壊しを受けて現在地へ移転してきました。

       

      商店会は「伝法院通りへの店舗移築については当時の台東区長から許可を得て行った」と主張します。それに対し、区側は「区長や担当窓口は代替わりしているし、許可を記した資料も存在しない」と反論しています。

       

      移転から40年以上平穏に営業を続けてきたというのに、なぜ今頃になって立ち退きを求められるのか…と、商店会は困惑しています。

      九州・福岡のソウルフード街にも危機が…

       

      九州・福岡市内にも魅力的な屋台街がたくさんあります。なかでもとくに人気が高いのが、博多区・中央区にまたがる「中州」エリアの屋台街です。

       

      福岡名物のもつ鍋や長浜ラーメン、一口餃子など、ここでしか食べられないグルメを提供する屋台街は、九州屈指の観光スポットになっています。過去、この地にも立ち退きの波が及んだことがありました。

       

      中州屋台街も浅草と同様、長年公道を占拠して営業を続けてきた店舗がほとんどなのですが、1995年、当時の福岡県警本部長が「今後、屋台営業の新規参入は認めない。現在ある店舗も一代限りで店じまいさせる」という方針を表明したのです。

       

      その影響で、当時200軒以上あった屋台の総数は2010年に約150軒、2018年には100軒あまりと徐々に減少し、観光客の足も遠退いていきました。

       

       

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        ※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。

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