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家賃滞納が発生する「3つの原因」
賃貸物件の経営は、当然のことながら入居者からの家賃収入があるからこそ成り立っています。そのため、入居者に家賃を滞納する入居者がいる場合には、物件オーナーとしては対応に苦慮してしまうことでしょう。
では、そもそもなぜ家賃の滞納が起きるのでしょうか?
まずは、家賃の滞納が起きる主な3つの原因を確認しておきましょう。
①うっかりミス
家賃滞納の1つ目のパターンは、うっかりミスによるものです。たとえば、振り込み手続きをするのを忘れてしまったり、口座振替の日に口座残高が不足しており引き落としができなかったりする場合などが考えられます。
振り込みの失念を予防するには、口座振替やクレジットカード払いなどの導入も検討すると良いでしょう。
また、残高不足による引き落とし不能の場合には、次回以降注意して欲しい旨を早期に連絡することで、再発を防げる可能性が高いといえます。
②金銭的に困窮している
家賃滞納の2つ目のパターンは、金銭的な困窮により支払いたくても支払えないというケースです。特に2021年前後では、新型コロナ禍で仕事が減ってしまい、生活に困窮している場合もあります。
特に、飲食業への従事などで生計を立てていた人のなかには、収入が大幅に減ってしまった人も少なくありません。
金銭的な困窮により家賃が支払えない入居者がいる場合は、状況によっては生活保護など公的な制度を案内したり、家賃の低い別の物件への住み替えを案内したりする方法が考えられます。
③家賃滞納を安易に考えている
家賃滞納の3つ目の原因は、家賃滞納を安易に考えているケースです。
家賃の滞納を特に悪いことだと感じていない場合や特殊な考え方などを持っている場合もあり、最も対応に苦慮する可能性の高いケースだといえるでしょう。
家賃滞納の解決方法①:請求
発生してしまった家賃滞納を解決するには、次の方法が考えられます。
●口頭や書面で請求する
滞納を確認したら、家賃が期限までに支払われていないことをすぐに入居者へ口頭や書面で連絡し、早急に支払って欲しい旨の請求をします。この時点ですぐに支払いがなされ、以後も滞納をしないのであれば問題は解決です。
学生などの場合は、滞納を続ければ保証人となっている親に連絡をするなどと伝えたり実際に保証人へ連絡をしたりすることも、早期解決の手段の一つといえるでしょう。
●内容証明郵便で請求する
口頭や通常の書面で請求をしても滞納が解消されない場合には、滞納分の家賃を早急に支払うよう、内容証明郵便で請求します。
内容証明郵便とは、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する制度です。滞納家賃の督促に際して内容証明郵便に記載すべき内容は、次のとおりです。
・滞納している家賃の金額
・滞納家賃の支払期限
・振込先の情報
・支払期限までに支払わなければ、改めて通知することなく賃貸借契約を解除する旨
滞納家賃の督促のために内容証明郵便を利用する主なメリットは、次の3点です。
メリット①:送付した内容や送付した日付の証拠が残る
内容証明郵便を送ることにより、その送付した内容や送付した日付の証拠が残ります。
そのため、たとえば入居者から期限までに支払わなければ賃貸者契約が解除されるとは聞いていないなどいった主張をされても、伝えた旨の証拠が残るため安心です。
メリット②:相手方へのプレッシャーになる
多くの人にとって、内容証明郵便を受け取る機会はそれほどあるものではありません。
また、法的手段に出る旨の意思表示ともなるため、相手へのプレッシャーとなり得ます。
メリット③:訴訟の際の証拠となる
家賃滞納を理由に賃貸借契約を解除したい場合などには、原則として家賃の支払いを催促したことや賃貸借契約解除の意思表示をしたことなどが必要となります。内容証明郵便を送ることで、この催促をしたことの証拠が残ります。
なお、この時点で解決しない可能性も検討し、内容証明を作成する段階から弁護士へ相談することをおすすめします。
家賃滞納の解決方法②:契約を解除し明け渡しを請求
してもなお滞納分の家賃が支払われない場合は、契約の内容に従って賃貸借契約を解除します。そのうえで、内容証明郵便などで物件の明け渡し請求をしましょう。
この時点で入居者が請求どおりに立ち退いてくれれば、問題は解決です。
家賃滞納を解決するための訴訟の種類
明け渡しを請求したにもかかわらず、入居者物件から退去せず居座り続ける場合は、訴訟を提起します。また、訴訟の結果、明け渡しを命じる判決が出たにもかかわらずなお退去しない場合は、強制執行により退去させることが可能です。
家賃の滞納を訴訟で解決しようとする場合には、次の方法があります。それぞれ特徴があり、状況によって使い分けることが可能です。
支払督促
支払督促とは、書類の審査のみで行う簡易迅速な手続きです。申立人の申立てに基づいて裁判所書記官が金銭の支払いを求める制度で、相手方からの異議の申立てがなければ判決と同様の法的効力が生じます。
入居者が支払命令に応じない場合には、家賃の支払いについての強制執行を申し立てることも可能です。
ただし、この制度では建物の明け渡し請求をすることはできません。また、仮に入居者側から異議が申し立てられると少額訴訟ではなく通常訴訟へ移行するため、はじめから少額訴訟を提起した場合と比べて時間がかかってしまう可能性があります。
少額訴訟
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用することができる訴訟の形態です。1回の期日で審理を終えて判決をすることが原則であり、支払督促に次ぐ簡易な手続きといえるでしょう。
勝訴したにもかかわらず滞納分の家賃が支払われない場合には、家賃の支払いについての強制執行の申立をすることが可能です。
ただし、少額訴訟も金銭の支払いを求めるための簡易な手続きであるため、建物の明け渡し請求をすることはできません。
通常訴訟
支払督促や少額訴訟では対応が困難な場合は、通常の訴訟を行います。物件の明け渡しを求めることも可能ですが、相手方の主張によっては裁判が長引く可能性があります。
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