(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年度、日本における認知症の推定患者数は600万人を超えました。埼玉森林病院院長で認知症専門医の磯野浩氏が解説していきます。

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    「そんなの当たり前では?」と思うかもしれないが…

    こうして文字にすると、そんなこと当たり前ではないか、と思う人も多いと思います。

     

    しかし実際の認知症介護の場では、予測もつかない患者の行動や暴力、暴言などでスタッフが心身ともに負担を強いられることが日常的に起こっており、感情的、支配的になってしまいやすい環境にあるといえます。

     

    例えば、もの忘れに対して「こんなことも覚えていないの?」とか、できないことに対して「どうしてできないの?」などと見下す態度をとったり、暴れたり騒いだりする人を無視したり、というようなことはBPSDのある認知症患者がいる家族なら多かれ少なかれ思い当たることがあるかもしれません。

     

    こうした対応や、外へ出ていってしまわないよう部屋に閉じ込めるなどで自由を奪うようなことが日常的に行われていると、認知症の患者には怒りが蓄積し、余計にBPSDがひどくなってしまいます。

     

    本人の思いや感情をおきざりにして、介護する側の都合優先でケアをしようとしてもうまくいきません。認知症ケアは本人の気持ちにできる限り寄り添うものであることがいちばんであり、当院としても心のサポートができるより良い方法を、今後も模索していきたいと考えています。

     

     

    磯野浩

    医療法人昭友会 埼玉森林病院 院長

    ※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    認知症診断の不都合な真実

    認知症診断の不都合な真実

    磯野 浩

    幻冬舎メディアコンサルティング

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