(※写真はイメージです/PIXTA)

母が亡くなり、ひとり暮らしとなった高齢の父は、地元でアパート経営を継続中。しかし、日常生活が危うくなり、息子たちは老人ホームへの入居を勧めます。納得した父に安堵しましたが、残された築古の実家と賃貸アパートが気がかりです。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

老朽化した不動産を放置しては、お金がかさんで…

筆者は、不動産の売却代金を活用し、都心の区分マンションを購入することを提案しました。1戸ではなく、賃貸しやすい間取りのものを複数購入し、遺産分割しやすくします。また、賃貸料はこれまでの父親のアパート収入の補填にします。

 

納得した坂本さんは弟と相談して父親の実家とアパートを売却し、その後、都内の物件を購入しました。

 

坂本さんの場合、父親の不動産を放置してしまうと、税金や維持費がかさむ可能性が高く、このタイミングでの対策は本当に有効でした。

 

実際、所有者の施設入居などで空き家になったときは、相続対策を行う絶好のタイミングなのです。また、老親に認知の不安がある場合は、症状が進まないうちに決断し、売却・買い替え、遺言書作成を終えておくことが大切です。

 

不動産の手続きが終わった数ヵ月後、坂本さんの父親には認知症の症状が表れはじめ、その後急速に進行していきました。

 

「あのとき、思い切ってよかったです」

 

すべての手続きが完了後、あいさつのために筆者の事務所に寄ってくれた坂本さんには、安堵の表情が浮かんでいました。

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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