(※画像はイメージです/PIXTA)

友達は、多ければいいというものではありません。同様に、少なければいいというものでもありません。「数」の問題ではないのです。「わかり合えているか」が重要なのです。そんな当たり前のことが見えづらくなっていることの背景には、「コミュ力」への誤解があるように感じますと精神科医の和田秀樹氏が著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)で解説します。

英語さえできれば外国人と仲よくなれるのウソ

心理療法士などが教えるコミュニケーションのためのトレーニングに、「アサーティブネス」というものがあります。これは相手と対等に、率直で誠実なコミュニケーションをするための方法のことで、「アサーティブネス(Assertiveness)」を直訳すると、まさに「主張すること」「断言すること」という意味です。

 

ただし、ここで重要なのは、ただ主張すればいいというものではなく、「相手が受け入れられる形で自己主張ができる」「相手をイヤな気持ちにさせないようにしながら自己主張ができる」ということ。こうした力がコミュニケーション能力なのです。

 

ところが、「コミュ力」というのは、どうも「空気を読んで、周りに合わせる能力」「相手に好かれる力」、あるいは「嫌われない力」のように捉えられているフシがあります。

 

英会話について考えてみるとわかりやすいのですが、日本人は英語がうまくなれば外国人と楽しく会話ができたり、仲よくなったりできると思いがちですよね。

 

しかし、その人の話が面白くなかったり、人を不快にするようなものであったり、話題についていけずに同調しかできなかったり、スカスカの内容であったりすれば、いくら英語がうまかろうとも、コミュニケーションは不発に終わります。

 

反対に、どれだけ英語がたどたどしくて下手くそでも、世界的な発見をした学者だとか、活躍している野球選手だとか、魅力のある人の話は聞きたいと思いますよね。

 

興味深い話ができるという第1段階があってこそ、英会話という第2段階のツールが活きてくるのです。

 

英語さえできれば人と仲よくなれるなら、アメリカ人はみんな仲よしのはずでしょう。でも、そうではありません。英会話は二の次。

 

「コミュ力」というのも、これと同じことなのです。

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

孤独と上手につきあう9つの習慣

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