世界経済が直面する「インフレ圧力」は一時的か
景気と金融市場が回復基調を維持するには、2022年前半にハードルを乗り換えなければならないかもしれません。世界経済は一時的な需給のミスマッチにより、人手不足、サプライチェーンの制約、インフレ圧力に直面しています。
サプライチェーンは世界各地でひっ迫しています。労働者の確保が困難なため、様々な製品の生産が滞り、特に米国の西海岸では主要な港湾でボトルネックが発生しています。国際線の減少により、コロナ禍前に比べ空輸能力が限られるなか、物流網の目詰まりに拍車がかかっています。
さらに、出荷の遅れの影響で、自動車や衣料、ゲーム機、玩具にいたる様々な製品の入手が困難な状況にあります。コロナ禍をきっかけに、海外の遠方から部品や製品を調達することの欠点が明らかとなったため、中期的には、企業はサプライチェーンの一部を米国の近くに移すと予想されます。
品不足と商品確保への懸念から、あらゆる企業が必要以上に発注する動きが広がり、サプライチェーンの上流の受注量が大きく変動しています。
これは「ブルウィップ効果」と言われ、サプライチェーンの上流に行くほど在庫の変動が大きくなることを意味します。このような需要の急増により、受注量が増え、特定の部品の在庫が枯渇し、供給不足に拍車がかかっています。
生産プロセスのいたるところにインフレ圧力が生じています。品不足、賃金上昇圧力、物流網の目詰まりにより、世界各地で物価が押し上げられています。足元では、インフレ率は近年では例がないほど高い水準で推移しています。
しかし、我々は、インフレは一時的なものであり、構造的なものではないと考えています。とりわけ、賃金の上昇をきっかけに職場復帰の意欲が高まり、職場復帰が可能になれば、ワクチンの接種率の上昇とパンデミックの収束にともない、人手不足は緩和するとみられます。
さらに、生産能力が拡大し、港湾問題が落ち着けば、サプライチェーンのボトルネックは緩和されると考えています。
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