本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社の「2022年バリュー株見通し」最新レポートを転載したものです。

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バリュー株の地合いは再び好転の見込み

【本記事のポイント】


・筆者は、2022年は力強い景気拡大と緩やかなインフレを追風に、バリュー株をめぐる地合いは再び好転すると考えています。

 

・2021年は年初こそグロース株に先行したバリュー株ですが、その後は新型コロナウイルスのデルタ株の出現をきっかけに、感染者数の増加とともに景気減速懸念が再燃し、夏場から初秋にかけてバリュー株の地合いは悪化しました。時期を予測することは困難ですが、2022年は経済活動の再開が本格化し、サプライチェーンの混乱と人手不足が落ち着くことで、バリュー株の地合いは持ち直すことが予想されます。

 

 

[図表1]10年移動平均超過トータルリターン(年率):バリュー株対グロース株(1985年1月~2021年10月)
[図表1]バリュー株に復調の兆し 10年移動平均超過トータルリターン(年率):バリュー株対グロース株(1985年1月~2021年10月)

経済対策によって積み上げられた「貯蓄」の行方

パンデミックの克服には時間を要しますが、オミクロン株など新たな変異ウイルスに対するワクチンの有効性がある程度保たれるのであれば、パンデミックの収束は視野に入りつつある可能性があります。米国はいち早くワクチン接種に乗り出しましたが、欧州の多くの主要国も先行しており、遅れを取ったオーストラリアや日本も急速に追い上げています。

 

とりわけ若年層へのワクチン接種が進むことで、先進国では今後数カ月間でワクチン接種率は一段と上昇すると予想しています。2022年には途上国でもワクチンの確保は容易になる見通しです。

 

しかし、新たな変異ウイルスの感染力や重症化リスクが高く、免疫システムを回避しやすい場合には、今後も試練は続く可能性があります。ワクチンメーカーは、必要があれば、そのような変異ウイルスに対する新たなワクチンを迅速に開発できると主張していますが、準備が整うまでには数ヵ月を要する可能性があります。

 

経済活動をさらに本格化させ、高額商品や外食、休暇取得、スポーツイベントやコンサートへの参加などの消費者の先送り需要を顕在化させるには、ワクチン接種率の向上が不可欠です。

 

コロナ禍の大規模な経済対策は、その効果が薄れたとしても、今後も持続的な需要の下支えに寄与する可能性があります。一部の国では、経済対策により所得が増え、消費者は貯蓄を積み上げています。

 

複数の調査結果によると、米国では2兆米ドルを超える超過貯蓄があるとの試算もあり、英国など他の経済大国でも同様のことが起きています。ワクチンを接種した人々が再び外出や旅行に出かけることに抵抗がなくなれば、こうした貯蓄が消費の拡大に寄与する可能性があります。

 

[図表2]米国の個人貯蓄率(2005年12月~2021年10月)
[図表2]米国の所得と貯蓄米国の個人貯蓄率(2005年12月~2021年10月)

 

コロナ禍による労働参加率の低下から賃金が高騰しており、今後、購買力が高まると予想しています。人手不足と賃金上昇は、それぞれ企業に異なる影響を及ぼします。

 

これが2022年に個別銘柄にどのような影響をおよぼすのかを見極めるには、個々の企業の事業や値上げを可能にする価格決定力を十分に理解する必要があります。長期的には、企業が効率化のためのテクノロジーを導入することで、賃金上昇圧力は緩和され、生産性は高水準で維持されると予想されます。

 

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