2025年はブラジル資産のパフォーマンスが改善
2025年はブラジル資産の円建てパフォーマンスが大きく改善した年となりました。ブラジル株やブラジル国債の円建ての投資収益(トータル・リターン)は、年初来で米国株を上回る好調を維持しています[図表1]。
こうしたブラジル資産の円建て収益の改善を支えた要因として、ブラジル株やブラジル国債などの現地通貨建てリターンの堅調に加えて、為替市場でのレアル高・円安の進行を挙げることができます。
2025年は主要通貨に対する米ドル安が進む中、新興国市場に投資家の注目が集まり、金利差の面などからレアルへの見直しの動きが広がりました[図表7・8]。
ブラジル中銀は2026年以降、段階的な利下げへ
金利環境の面では、ブラジル中銀はインフレ懸念の再燃を背景に、2024年後半から利上げに転じ、現在の政策金利は15.00%の高水準に達しています。特に米国や他の新興国とは異なる金融政策のサイクルで利上げが進められてきたことが、分散投資先としてのブラジルの再評価に繋がっていると考えられます[図表2]。
2026年にはインフレ圧力の後退に伴って、ブラジル中銀の利下げ余地が生まれるとみられます。市場予想では、2026年3月以降、中銀が利下げに転じるとの見方が大勢であり、政策金利は2027年末には10.50%まで引き下げられると見込まれています[図表9]。足元で14%近辺にあるブラジル国債利回りは、2026年には緩やかな低下(債券価格は上昇)に向かう可能性がありそうです。
海外投資家のブラジルへの証券投資が回復
また、近年のブラジルの政治・経済環境の安定を受けて、海外投資家の証券投資の流入が回復傾向にあります。
海外投資家の証券投資は2010年代前半のブラジル投資ブームの中で流入が加速したものの、2015年以降のブラジルの政局混迷や2020年のコロナ危機を受けて資金流出の傾向が続いてきました。しかし、コロナ危機以降は証券投資が流入傾向に転じ、足元では債券投資を中心にブラジルへの資金流入が拡大しつつあります[図表3]。
2025年のブラジル株は史上最高値を更新
一方、2025年のブラジル株式市場では、主要株価指数のボベスパ指数が年末にかけて史上最高値を更新するなど、株価の好調が続いています。海外投資家のブラジル株への資金流入が回復基調にあることが、需給面から株高基調を支える要因になっていると言えます[図表4]。
足元で堅調な株高が進む中でも、ブラジル株の予想PERは9倍台と割安な水準にあり、新興国株の中においてブラジル株への見直しの余地は残されています[図表10]。
ブラジル経済が内需主導の底堅い成長を取り戻していることが、ブラジル企業の事業環境の改善に寄与しつつあり、ブラジル企業の利益見通しは2026年から2027年に向けて堅調な増益基調が見込まれています[図表5・10]。
首脳会談を契機にトランプ政権との関係改善進む
また、政治と外交の面では、2025年はブラジルにとってもトランプ政権との関係に揺れた一年となりました。
ブラジル国内ではクーデターを企てた罪からボルソナロ前大統領の起訴と裁判が進む中、ボルソナロ氏の盟友とされるトランプ大統領は2025年7月にブラジルに対して50%の大幅関税を課す措置を公表しました[図表12]。
もっとも、10月のルーラ大統領とトランプ大統領による直接会談をきっかけに、ブラジルと米国の関係改善が進展しつつあります。11月にはトランプ政権は一部のブラジル産農産物に対する追加関税措置を撤廃しました。
市場の焦点は2026年のブラジル大統領選挙
一方、2026年は10月に予定されるブラジル大統領選挙が市場の最大の焦点になりそうです。
現職のルーラ大統領は再選を目指す意向を示しており、大統領選挙の第一の有力候補です。ルーラ氏の支持率はトランプ政権との関係改善を図った功績から回復傾向にあるものの、不支持率も高いことから必ずしも盤石な状態とは言えません[図表6]。一方、右派陣営では、ボルソナロ前大統領が後継候補に指名した長男のフラビオ・ボルソナロ上院議員などが有力候補として浮上しています。
今後の選挙動向をめぐって市場では神経質な展開が続く可能性があるものの、中期的には大統領選挙後の次期政権の経済政策と財政規律の行方はブラジルの信用力改善のカギを握るポイントになると考えられます[図表13]。
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