「2部屋もある」不動産管理…“どん詰まり”の状況に
そこで、苦肉の策として、住野さんが働く施設でショートステイを利用することにしました。この施設は入所型の施設ではないので、あくまで一時的な利用となります。何とかこの間に、入所先を見つけたいという思いに駆られています。
ところが、「ここは」という施設に問い合わせを入れても、結果は先に述べたとおりとなってしまうのです。
加山さんの通帳は、住野さんが一部預かって管理しています。しかしながら、住野さんの本来の仕事は、ケアマネージャーです。金銭管理は、自分がやるべきことではないし、その権限もないと感じています。いつまでも自分が預かっているわけにはいかないという焦りもあります。
住野さんが必要な荷物を取りに加山さんのマンションに行った際に、近所の方から、加山さんが戻って来ないことを心配され、「加山さんは、まだ病院ですか? 部屋はどうするのですか?」と尋ねられました。
「戻る見込みがなければ、処分することになると思います。ただ、私の一存では……。それに、売るにしてもこの状態では難しいでしょう」と、話すとその方から、「加山さんは、下の階にも部屋を持っていますよ」と伝えられました。加山さんは、同じマンションに2部屋を所有していたのです。
2つもある部屋を今後どうしたらよいのか、住野さんには見当すらつきません。本人が今後どうするか自分自身で決められるような状況ではないため、不動産に誰も手をつけられなくなっているのです。
岡 信太郎
司法書士のぞみ総合事務所
代表司法書士
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