(※写真はイメージです/PIXTA)

メンバーに主体性が備わればチームパフォーマンスが上がる。そう信じているリーダーはたくさんいますが、それはまったくの間違いです。個人の行動は、チームの雰囲気やメンバーとの関係性、リーダーからの働きかけなどに大きな影響を受けるということが多くの研究で明らかになっています。チームパフォーマンスとは、「チームが売上や開発の目標といった実現すべき成果に影響を与えるメンバーの主体的行動の総和」。ここでは、メンバーから主体的な行動を引き出すポイントを見ていきましょう。

チームをマネジメントするうえで最も重要なこと

④目的の共有

そしてチームをマネジメントするうえで最も重要なことは、目的を共有することです。さらにその目的には意義があり、意欲をそそるものであることが重要です。

 

目的とは「何のためにやるのか?」ということです。目標とは「どうなったら達成なのか」ということです。そして意義とは「達成したらどうなるのか?」ということです。そもそも、チームマネジメントはチームの成果を最大化するために行うものですが、目的、目標、意義が共有されていなければ、目指す成果が共有されていないのと同じです。目標しか共有されていないチームも多いですがそれでは不十分です。

 

例えば、会社全体を一つのチームととらえれば「永続企業として成長発展するため」ということが目的になり得ます。そのための目標は「売上XXX億円」などが挙げられます。家電メーカーであれば「多くの人の生活が豊かになる」ということかもしれません。つまり自社が目標を達成し、その結果目的を実現できたときに、社会や他者に対してもたらし得るものが意義なのです。利他といってもよいです。

 

あるいは情報システムチームであれば「会社全体の生産性向上」が目的で、「2022年4月に新しいグループウェアを導入する」というのが目標になり得ます。その意義は「一人ひとりの社員が雑務から解放され、成果に直結する仕事に専念している」ということが考えられます。これは社会に直結する意義ではないかもしれませんが、自部門以外での社員への貢献という点で十分利他的で意義になり得ます。

 

営業企画チームであれば「新たな受注ルートの構築」という目的に対し「Webから売上10億円」という目標を設定するかもしれません。その意義は「市場に挑む営業パーソンに希望をもたらす」といったものになるはずです。

 

このように意義とは、具体的なターゲットがあって社会やその人たちがどういう状態になっているかという形式で語られるものだといえます。そしてチームメンバーが本気で、「あの人たちがこうなっていればいいな」とワクワクした気持ちになるのであれば、そのチームのパフォーマンスは非常に高い確率で向上するのです。

 

「苦しいときには、ターゲットとした人たちの喜ぶ顔を想像する」というムードであれば、厳しいリーダーであろうが一時的に長時間労働が必要であろうが、チームは喜んで働きます。逆にそんなムードのないチームであれば、リーダーが優しかろうが業務が毎日定時に終わろうが、チームは活性化しません。

 

 

橋本 竜也

株式会社日本経営  取締役

 

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※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

橋本 竜也

幻冬舎メディアコンサルティング

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