(※写真はイメージです/PIXTA)

ある資産家の夫婦は、繊細な性格で独身の末っ子の行く末を気にかけていました。自分たちのそばに置き、早い段階で資産移転を行うなど、周到に対策を立ててきましたが、安心したのもつかの間、末っ子の病気が判明します。残された時間は多くなく、家族は対応に追われますが…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

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数年前の相談者から「状況が変わった」と連絡が…

今回の相談者は、東京都在住の田中さんご夫婦です。実は数年前、おふたりは、子どもたちへの資産配分についてアドバイスがほしいと相談に訪れたことがありました。そのときは、筆者が提案したプランに親族皆さんが納得され、すんなり問題解決となりました。

 

しかし、その後大きく状況が変わってしまったとのことで、くわしく話を聞いてみると、夫婦の老後を見てもらうつもりで手厚い贈与をした独身の二男が、がんで余命宣告を受けたというのです。

 

田中さんご夫婦には、結婚して家を出た長男と長女、そして二男の3人の子どもがいます。田中さんは都内の一戸建ての自宅のほか、貸しビルや貸し駐車場を所有し、賃貸不動産の収入を管理する法人を作り、夫婦と二男で運営していました。

 

二男は繊細な性格で、人間関係を築くのに時間がかかるといいます。大学卒業後、一度は企業に就職したものの退職し、以後はイラストレータとして、実家の一室を仕事部屋にあてて働いています。イラストは子どものころからの趣味で、玄人はだしの腕前だったのですが、ウェブサイトへ掲載した作品が雑誌編集者の目に留まったことから、少しずつ仕事を受けるようになりました。

 

しかし、自営業だけの収入では不安定です。結婚しないともいっている二男の将来を心配した田中さん夫婦は、筆者に、二男の生活を守るためのアドバイスを求めました。その際、筆者からは、財産の一部を生前贈与するほか、収益不動産に二男の名義を入れ、二男に多く資産配分した遺言書を残すよう提案し、田中さん夫婦は納得しました。

 

長男長女も、二男が両親のそばにいてくれるなら安心だと提案に賛成し、また二男本人も、不動産経営の勉強にやる気を見せるなど、今後は安泰だと思えました。

 

ところがそれからわずか数年、体調不良を感じた二男が近所のクリニックに行ったところ、厳しい表情の医師からすぐ大学病院へ行くよう指示を受け、そこでまさかの余命宣告を受けたのです。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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